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NPUとは?CPU・GPUとの違いやAI処理での必要性を解説

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 NPUはAI処理に特化したパーツで、一部のCPUに内蔵されています。従来のCPUやグラフィックス(GPU)とは異なり、AIの推論処理に最適化された設計が特徴です。NPUを搭載することで、AI処理の高速化・省電力化・CPUやGPUの負荷軽減などのメリットを得られます。

 AIをローカル環境で快適に活用したい方にとって、NPU搭載パソコンは有効な選択肢になるでしょう。

 この記事では、NPUの基本概念や必要性、製造メーカーや搭載パソコンを購入する際のポイントなど、幅広く解説します。NPUについて理解し、AIツールをより快適に使用したい方はぜひ参考にしてください。

※ 製品の情報や価格は2025年6月23日時点の情報となります。

 

パソコンに搭載されるNPUとは?

 NPUは、AI処理に特化したパーツです。ここでは、NPUの概要やNPU搭載パソコンの特徴、CPU・グラフィックス(GPU)との違いなどを解説します。

NPUはAI処理に特化したパーツ

 NPUは、Neural Processing Unitの略で、人工知能(AI)処理に特化したプロセッサーです。人間の脳神経細胞(ニューロン)を模した構造を持ち、AI推論処理に最適化されています。

 従来のCPUやグラフィックス(GPU)とは異なり、ニューラルネットワーク(ニューロンを模した機械学習モデル)の演算に必要な処理を効率的に実行でき、消費電力に対する処理効率が高いのが特徴です。

 低精度演算(4ビットや8ビットなど、演算の精度を下げて高速かつ省電力にする技術)を活用することで、高速な並列処理を実現しています。

 NPUの活用例には、リアルタイムでの画像認識・音声解析・自然言語処理・背景ノイズ除去などが挙げられます。小型設計のため、スマートフォンやタブレットなどにも搭載されるパーツです。

 

 

NPUを搭載したパソコンは「AI PC」や「Copilot+ PC」と呼ばれる

 NPUを搭載したパソコンは「AI PC」と呼ばれ、特定の条件を満たしてMicrosoftから認証を受けたパソコンは「Copilot+ PC」と呼ばれます。

 Microsoftが発表した「Copilot+ PC」の要件は、次のとおりです。

・Windows 11 AI PCとして認証されたCPUまたはシステムオンチップ(SoC)の搭載

・40TOPS以上の処理性能を持つNPU

・16GB以上のメモリ

・256GB以上のストレージ

 NPUを搭載していても、これらの要件を満たしていない場合は「Copilot+ PC」ではありません。また、Copilotキーが搭載されていても、NPUを搭載しているとは限らないため注意しましょう

 

 

CPU内蔵タイプ・外付けタイプのNPUが開発されている

 NPUには、CPUに内蔵されたタイプと外付けのアクセラレーターボード(処理速度を上げる拡張ボード)として提供されるタイプがあります。

 CPUに内蔵したNPUの利点は、省スペースかつ低消費電力であることです。具体的な製品としては、Intel® Core™ UltraシリーズやAMD Ryzen™ AI 300シリーズなどが挙げられます。

 一方、外付けNPUの利点は、既存のシステムに後付けでAI処理能力を追加できることや、CPU内蔵型よりも高い処理能力を持つことです。外付け型はデータセンターなどの大規模な環境で使用されるのが一般的ですが、近年ではより身近に活用できる環境が整えられつつあります。

CPU・グラフィックス(GPU)・NPUの違い

 CPU・グラフィックス(GPU)・NPUはデータを処理する点では同じですが、役割や得意分野などに違いがあります。各プロセッサーの特徴は、次のとおりです。

プロセッサー

主な役割

特徴

CPU

多様なタスクやソフトウェアの実行

・複雑な計算処理が得意

・高性能な演算ユニットを少数搭載している

・タスクを順番に処理するのが基本

グラフィックス(GPU)

画像処理や並列計算

・画像処理のレンダリングや科学技術計算が得意

・多数のコアによる並列処理ができる

・PCゲームや3DCG制作、ディープラーニングなどに活用される

NPU

AI処理

・ニューラルネットワークの推論処理が得意

・AIタスクのローカル処理を高速化できる

・消費電力が低い

 CPUは汎用的な処理を得意とし、複雑な論理計算や制御を順番に実行します。さまざまなタスクに対応できますが、AI処理での効率が高いとはいえません。

 グラフィックス(GPU)は並列計算による画像処理や科学技術計算を得意とし、数百から数千のコアを搭載しています。AI処理でも高い性能を発揮しますが、消費電力が大きいのが課題です。

 NPUはAI処理に特化しており、ニューラルネットワークの推論処理を効率的に実行します。CPUやグラフィックス(GPU)よりも低消費電力でAIタスクを処理できるのがメリットです。

 

 

NPU搭載パソコンは何ができる?必要性を解説

 NPU搭載パソコンは、次のような利点があります。

・AI処理を効率化できる

・消費電力を抑えられる

・CPUやグラフィックス(GPU)の負荷を軽減できる

・ローカル環境でAIを活用できる

 各項目を詳しく解説します。

AI処理を効率化できる

 NPUは従来のCPUやグラフィックス(GPU)とは異なり、ニューラルネットワークの演算に特化した並列処理能力を持っています。AIタスクにおいて、処理速度の向上と省電力化を同時に実現できるところが利点です。

 また、NPUによるローカルでのAI処理は、クラウド処理のような遅延がないため、リアルタイム性が求められるタスクで優位性があります。たとえば、クラウドで数十秒かかっていた処理をNPU搭載パソコンで実行すると、数秒で完了することもあります

消費電力を抑えられる

 NPUが消費電力を抑えられる理由は、AI処理に特化した設計が採用されているからです。4ビットや8ビットといった低精度演算を活用することで不要な演算を抑え、CPUやグラフィックス(GPU)と比較して電力消費を大幅に削減できます。

 AI処理に特化した構造により、同じ処理能力でもワット数を低く抑えることが可能です。そのため、バッテリー駆動のノートパソコンやタブレットでも長時間の使用ができるようになり、モバイル環境での生産性向上にも貢献してくれます。

CPUやグラフィックス(GPU)の負荷を軽減できる

 NPUがAI処理を担うことで、CPUやグラフィックス(GPU)の負荷が軽減されます。AI処理をNPUに任せることで、CPUは一般的な演算処理に、グラフィックス(GPU)は画像処理に集中でき、全体的なパフォーマンスが向上します。

 たとえば、NPUを搭載していると、画像編集中にAI機能を併用してもパフォーマンスの低下を抑制できるでしょう。また、各パーツの稼働率が分散されることで、発熱の低減やファンノイズの抑制にもつながります。

 それぞれの負荷を軽減できることで、システム全体の安定性も向上するでしょう。

ローカル環境でAIを活用できる

 NPUを搭載することで、クラウドを介さずにローカル環境でAI処理ができます。インターネット接続の状況やクラウドサービスの影響を受けないため、リアルタイム性を求められる用途に強いことが特徴です。

 たとえば、Web会議を行う際の映像や音声のAI処理・背景ノイズ除去・リアルタイム翻訳などが挙げられます。

 また、オフライン環境でも音声認識や画像生成といったAI機能を使用できるため、移動中や通信環境が不安定な場所でも安定した作業が可能です。ローカルで完結できるため、機密情報を外部に送信することなくAI機能を利用でき、セキュリティの強化にもつながります。

 データ漏えいリスクを軽減しながら生産性を高めるAI機能を活用できるため、仕事用パソコンとして非常に魅力的です。

NPUの性能を示す「TOPS」

 TOPS(Tera Operations Per Second)とは、NPUの性能を測る指標のことです。1秒間に実行できる演算回数を兆単位で表したもので、数値が高いほどAI処理能力が優れていることを示します。

 たとえば、Microsoft Copilot+ PCでは40TOPS以上が要件とされているため、それを基準にNPU搭載パソコンを探してもよいでしょう。

 また、TOPS/W(TOPSあたりのワット効率)という指標もあります。消費電力1ワットあたりの処理能力を表すため、省電力性能の比較に役立ちます。実際のAI処理のパフォーマンスを知りたい方は、自分のパソコンのTOPSを測定できるWebサービスも存在するので、試してみるとよいでしょう。

NPUの製造メーカー

 NPUは、IntelやAppleなどさまざまなメーカーが製造しています。主な製造メーカーとその特徴は、次のとおりです

・Intel:Intel® AI Boostを搭載したCore™ Ultraシリーズを提供しており、Lunar Lake世代では48TOPSの性能を実現

・Qualcomm:Snapdragon® X Elite/Plusシリーズで45TOPSを達成、Arm系CPUでの高効率AI処理が特徴

・AMD:Ryzen™ AI 300シリーズで50TOPSを実現しており、XDNA 2アーキテクチャを採用

・Apple:Neural Engineを独自開発し、M4チップでは38TOPSを実現

 Apple以外のメーカーは、Copilot+ PCの要件である40TOPS以上を満たしています。NPUは発展途上のパーツなので、各社とも今後の性能アップが期待できるでしょう。

※ Apple製品は独自のmacOS環境でAI機能を提供しており、Windowsベースの「Copilot+ PC」には含まれないため、Copilot+ PCの要件はApple製品には適用されません。

NPU搭載パソコンを購入する際のポイント

 NPU搭載パソコンを購入する際のポイントは、次のとおりです。

・すべてのアプリがAI処理に対応しているわけではない

・非搭載モデルより価格が高い

・NPU以外のスペックも確認する

 各ポイントについて、詳しく解説します。

すべてのアプリがAI処理に対応しているわけではない

 AIを活用したすべてのアプリが、NPUの処理に対応しているわけではありません。多くのAIサービスはクラウド処理が前提となっており、NPUの恩恵を受けられないケースがあります。

 しかし、Microsoft 365 CopilotやCopilot in Windows、AMDのGAIAなど、NPUによるローカル処理に対応したアプリを、普段から活用する方にとってはメリットが多いでしょう。

 また、Blender(3DCG制作ソフト)やCapture One(画像編集ソフト)などのクリエイティブソフトでもNPU対応が進んでいます。現状の対応アプリは少ないものの、今後増えていくと予想できるでしょう。

非搭載モデルより価格が高い

 NPU搭載パソコンは、NPUの開発・製造にかかったコストが反映されており、非搭載モデルより価格が高めに設定されています。

 NPUに対応したAIツールを日常的に活用する方にとっては有用ですが、使わない方はコストパフォーマンスが低く感じるでしょう。低価格帯のエントリーモデルで問題ない方は、非搭載を選択することをおすすめします。

 ただし、今後AIのローカル処理に対応するソフトウェアが増えることを考えると、長期的なコストパフォーマンスは高いといえるでしょう。予算と使用目的を考慮し、総合的に判断することが大切です。

NPU以外のスペックも確認する

 パソコンを選ぶ際は、NPUの性能だけでなく、CPUやメモリ、ストレージ、ディスプレイなどのスペックも重要です。

 メモリ容量が不足するとAI処理時にパフォーマンスが低下する恐れがあるため、16GB以上の容量を推奨します。その他にも、ストレージの種類や容量・ディスプレイの解像度や色域なども、使用目的に応じて適切なスペックを選ぶことが大切です。

 たとえば、動画編集を行う方は、1TB以上のSSDとDCI-P3のカバー率が高いディスプレイを備えたモデルがよいでしょう。スペックにこだわりがある場合は、カスタマイズに対応するBTOパソコンがおすすめです。

 

詳しくはこちら

・メモリについて

・ストレージについて

・BTOパソコンについて

NPU搭載!マウスコンピューターのおすすめAI PC

 マウスコンピューターは、用途に合わせてスペックをカスタマイズできるBTO(Build To Order)パソコンを販売しています。ここからは、NPUを搭載したマウスコンピューターのおすすめAI PCをご紹介します。

※ 製品の情報や価格は2025年6月23日時点の情報となります。

1.50TOPSの処理能力を持つ「mouse B5-A7A01SR-A」

mouse B5-A7A01SR-A
OS Windows 11 Home 64ビット
CPU AMD Ryzen™ Al 7 350 プロセッサ
グラフィックス AMD Radeon™ 860M
メモリ標準容量 16GB (8GB×2 / デュアルチャネル)
M.2 SSD 500GB (NVMe Gen4×4)
サイズ 15.3型
通常価格
(税込)
149,800
mouse B5-A7A01SR-A
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「mouse B5-A7A01SR-A」は、AMD Ryzen™ AI 7 350プロセッサを搭載した15.3型ノートパソコンです。Copilot+ PCの要件(40TOPS以上)を満たす50TOPSのNPU性能を持っており、AI処理を高効率で実行できます。

また、内蔵グラフィックス(GPU)にはAMD Radeon™ 860Mを搭載し、画像・動画編集やライトなPCゲームなどにも対応できます。

さらに、15.3型のWQXGA(2,560×1,600)ディスプレイは、120HzのリフレッシュレートやsRGB比100%に対応し、ゲームやクリエイティブ作業にもおすすめです。

 

2.NVIDIA Studio認定を受けた「DAIV S4-I7G60SR-D(NVIDIA Studio 認定PC)」

DAIV S4-I7G60SR-D(NVIDIA Studio 認定PC)
OS Windows 11 Home 64ビット
CPU インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 155H
グラフィックス NVIDIA® GeForce RTX™ 4060 Laptop GPU
メモリ標準容量 16GB (8GB×2 / デュアルチャネル)
M.2 SSD 500GB (NVMe Gen4×4)
サイズ 14型
通常価格
(税込)
239,800
DAIV S4-I7G60SR-D(NVIDIA Studio 認定PC)
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「DAIV S4-I7G60SR-D(NVIDIA Studio 認定PC) 」は、NPUを搭載したCPUと専用グラフィックス(GPU)を採用したクリエイター向けモデルです。

AI処理を高速化するIntel® Core™ Ultra 7 プロセッサー155Hと、優れた画像処理性能を持つNVIDIA® GeForce RTX™ 4060 Laptop GPUを搭載しています。

NVIDIA® Studio認定を受けており、さまざまなクリエイティブアプリを快適に使用できます。さらに、カラーキャリブレーション済みの高精細ディスプレイを採用し、質の高いコンテンツ制作をサポートしてくれるでしょう。

 

3.AIによる業務効率化に有効な「MousePro G4-I7U01BK-E」

MousePro G4-I7U01BK-E
OS Windows 11 Pro 64ビット ( PKIDラベル貼付対応 )
CPU インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 258V
グラフィックス インテル® Arc™ グラフィックス 140V
メモリ標準容量 32GB (CPU内蔵32GB / デュアルチャネル)
M.2 SSD 500GB (NVMe Gen4×4)
サイズ 14型
通常価格
(税込)
239,800
MousePro G4-I7U01BK-E
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「MousePro G4-I7U01BK-E」は、Copilot+ PCに対応したモバイルノートパソコンです。従来のCPUの約4倍のAI性能にあたる、最大47TOPSを実現したIntel® Core™ Ultra 7 プロセッサー258Vを搭載しています。

Microsoft 365 CopilotなどのAI機能を効率的に活用できるため、普段からAIを使っている方におすすめです。また、OSはセキュリティに強いWindows 11 Proを採用しています。

さらに、約946gの軽量設計と最大19時間(アイドル時)のバッテリー駆動時間により、モバイルワークも快適です。その他にも、堅牢性の高さを示すMIL規格や、高速無線通信ができるWi-Fi 7にも対応しています。

 

 

まとめ:NPUはAI処理を効率化する重要なパーツ

 NPUは、AI処理に特化した専用プロセッサーとして重要な役割を果たしています。従来のCPUやグラフィックス(GPU)に比べ、AI処理を低消費電力かつ高速で実行できます。

 また、CPUやグラフィックス(GPU)の負担を抑制できることや、ローカル環境でAIを活用できるのもメリットです。

 NPU搭載パソコンを選ぶ際は、対応アプリや予算を確認したうえで、NPU以外のスペックも検討しましょう

 マウスコンピューターは、NPUを搭載したAI PCを販売しています。スペックのカスタマイズにも対応しているので、ぜひ下記の公式サイトで詳しい情報をチェックしてみてください。

NPU搭載 AI PC

 

 

 

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