YuEは、無料で利用できるオープンソースの音楽生成AIです。テキスト入力の内容を基に、AIが歌声入りの音楽を生成します。
音楽の専門知識がなくても楽曲制作が可能で、商用利用にも対応しているためコンテンツクリエイターや音楽プロデューサーなど幅広い分野で活用できるツールです。ただし、著作権侵害のリスクなどを認識したうえで利用することが求められます。
この記事では、YuEの特徴や魅力、活用方法、使用時の注意点について詳しく解説します。
※ 製品の情報や価格は2025年7月19日時点の情報となります。
- YuEとはオープンソースの音楽生成AI
- 音楽生成AI「YuE」の特徴・仕組みを解説
- YuEとSuno AIの違い
- 音楽生成AI「YuE」の魅力
- YuEを活用している仕事や用途
- YuEを利用する際の注意点
- YuEの使用に!マウスコンピューターのおすすめパソコン
- まとめ:YuEは自由度の高い音楽生成AI
YuEとはオープンソースの音楽生成AI
YuEは香港科技大学とMultimodal Art Projectionが共同開発した、オープンソースの音楽生成AIです。テキストで指示を入力するだけで、AIがその内容に沿ったオリジナルの音楽を歌声入りで自動生成します。
YuEという名前は中国語で「音楽」と「幸せ」を意味しており、誰でも無料で音楽生成の楽しさを経験できるように設計されています。
Apache 2.0ライセンスのもとで公開されており、オープンソースとして無料で利用でき、商用利用も可能です。
構造的にはChatGPTのような文書生成やStable Diffusionのような画像生成AIと類似しており、プロンプトベースで高品質なコンテンツを生成する仕組みとなっています。
最大5分間の楽曲を生成でき、ボーカルと伴奏の両方を含む本格的な音楽作品を制作できるツールです。
音楽生成AI「YuE」の特徴・仕組みを解説
YuEはMeta社が開発した大規模言語モデルの「LLaMA」を使用しており、プロンプトをLLMによって解析し、音楽のニュアンスを理解して楽曲を生成します。
YuEの主な特徴は次のとおりです。
品質が高く聞きやすい音楽を生成できる
(デュアルトークン技術により、ボーカルと楽器の同期を実現している)
長い曲でも自然な流れをつくれる
(構造的プログレッシブ生成により、数分間の楽曲を段階的に生成して一貫性を保持する)
曲全体を通して歌詞の意味に一貫性を持たせられる
(Lyrics-Chain-of-Thoughts(Lyrics-CoT)技術により、歌詞を段階的に生成して一貫性のある内容を保つ)
多言語に対応できる
(英語、中国語(北京語・広東語)、日本語、韓国語の歌詞をサポートしている)
多ジャンルに対応できる
(ポップ、ロック、ジャズ、クラシック、ヒップホップなど幅広いスタイルに対応している)
このように、YuEはさまざまな技術が活用されてつくられた音楽生成AIです。
YuEとSuno AIの違い
音楽生成AIにはYuEのほかに、Suno AIもあります。Suno AIはアメリカのスタートアップ企業が開発した音楽生成AIで、Webブラウザ上で誰でも手軽に高音質な音楽生成を体験できます。洗練されたインターフェースとシンプルな操作性が特徴で、プロンプト入力からわずか数秒~数十秒で楽曲の生成が可能です。
無料プランに加えて有料プランも用意されており、有料プランにすると商用利用ができ、生成できる曲数も増加します。
YuEとSuno AIの主な違いは次のとおりです。
| 項目名 | YuE | Suno AI |
|---|---|---|
| 開発元 | 香港科技大学・M-A-P | アメリカのスタートアップ |
| 価格 | 完全無料 | 無料プラン・有料プラン |
| 生成時間 | 30秒の楽曲で6分程度(NVIDIA® GeForce RTX™ 4090使用時) | 数秒~数十秒 |
| 商用利用 | 可能(Apache 2.0ライセンス) | 有料プランで可能 |
Suno AIはWebブラウザで音楽を生成でき、生成時間が早いのが特徴です。YuEは生成までに時間がかかり、より早くするにはさらに高性能なグラフィックス(GPU)を搭載する必要があります。
また、Suno AIの無料プランには商用利用不可・月に10曲までという制限があり、本格的に活用するには有料プランの登録が必要です。Proプランは月額10ドル、Premierプランは月額30ドルとなっています。
音楽生成AI「YuE」の魅力
YuEの魅力は次のとおりです。
音楽の知識やスキルがなくても曲がつくれる
カスタマイズの自由度が高い
歌詞に沿った自然な歌声を表現できる
長い曲でも一貫性を維持できる
ボーカルと伴奏を別々にダウンロードできる
商用利用ができる
各魅力について、詳しく解説します。
音楽の知識やスキルがなくても曲がつくれる
YuEは音楽理論を学んでいない方でも、歌詞さえあれば楽曲を生成できる音楽生成AIです。楽器の演奏技術や作曲の専門知識は一切不要で、音楽制作の敷居を下げてくれます。
ChatGPTのような生成AIに歌詞をつくってもらえば、自分で考える必要もありません。
従来の音楽制作では、音楽スクールでの学習や楽器購入などの初期投資が必要でした。YuEなら、テキスト入力だけでボーカルトラックと伴奏トラックの両方を含む完成した楽曲の制作が可能です。
さらに本格的な音楽制作に挑戦したい方は、DTMがおすすめです。以下の記事で、DTMのパソコン環境について解説しています。
カスタマイズの自由度が高い
ジャンル・ムード・テンポ・ボーカルスタイルなどの音楽的要素を個別に指定できるのも、YuEの魅力です。
ポップス・ロック・メタル・ジャズ・クラシック・ヒップホップなど幅広いジャンルにも対応しており、ボーカルの性別・音色・感情表現なども細かく調整できます。
たとえば、激しいロックから穏やかなジャズバラードまで、同じ歌詞でもまったく異なる印象の楽曲を制作でき、ユーザーの創造性を活かした音楽表現が可能です。
歌詞に沿った自然な歌声を表現できる
YuEは歌詞の各文字がどのような音として発音されるべきか、またどのようなメロディーに乗せて歌うべきか理解して自動的に歌声を生成します。そのため、言葉のリズムや発音が自然で聴き取りやすい高品質な楽曲の作成が可能です。
英語・中国語・日本語・韓国語などの複数言語で、ラップやポップ、ジャズなど多彩なスタイルを違和感の少ない歌声で表現できます。
音程の変化も滑らかで息継ぎのタイミングも自然なので、初心者がつくっても完成度の高い楽曲が制作できるでしょう。
長い曲でも一貫性を維持できる
短い音楽クリップではなく、5分間の本格的な楽曲を作成できる点もYuEの魅力です。高度な調整をしなくても、楽曲全体を通して音楽的な構造の一貫性を保てます。
従来の音楽生成AIは、ボーカルや伴奏などを別々に生成したあとに合成するのが一般的でした。この方式では全体を通して一貫性を保つことが難しく、質の高い長尺の曲を制作するのは困難です。
YuEでは各パートを同じタイミングで連携しながら生成するため、お互いがバランス良く調和した楽曲を制作できます。
ユーザーが指定した構造ラベル(イントロ・バース・コーラス・ブリッジ・アウトロ)に基づいて生成し、長時間の楽曲でも統一感を持った作品制作が可能です。
ボーカルと伴奏を別々にダウンロードできる
YuEはボーカルトラックと伴奏トラックを個別ファイルで出力できるため、活用の幅が広がります。
ボーカルと伴奏をそれぞれ個別に取り出せるため、動画用のBGMに歌声を乗せたり、カラオケ動画用に歌抜き音源を用意したりといった編集が簡単にできます。
自作の歌声を別の楽器アレンジに組み合わせたり、逆に歌声だけを強調してミックスしたりといったクリエイティブな音づくりが手軽に楽しめるでしょう。
気に入った楽器アレンジがあれば、別プロジェクトで再利用することもできます。
商用利用ができる
YuEはオープンソース(Apache 2.0ライセンス)の音楽生成AIなので、商用利用が認められており収益化や販売ができます。
広告用BGMやYouTube動画での収益化を見据えた利用もでき、ビジネス用途での活用に制限がありません。
従来の音楽利用では楽曲使用料やライセンス料が発生する場合がありましたが、YuEで生成した楽曲なら追加費用を気にせず自由に活用できます。
たとえば、企業のプロモーション動画やWebサイトのBGM、店舗のイメージソングなど、多様な用途に楽曲を使用できるでしょう。
YuEを活用している仕事や用途
YuEは、以下のような職種で便利に活用できます。
・ソングライター
・音楽プロデューサー
・コンテンツクリエイター
・広告代理店
・ゲーム開発
ソングライターは楽曲のアイデア出しやデモ制作に活用し、従来の作曲プロセスを効率化できます。音楽プロデューサーはアーティストへの楽曲提供の参考音源として利用できるでしょう。
コンテンツクリエイターは、YouTubeやTikTokなどの動画配信に使うオリジナルBGMの制作に活用できます。広告代理店は、クライアント向けのCM音楽やプロモーション素材の作成に導入し、制作コストの削減と納期短縮が可能です。
ゲーム開発会社では、制作費用を抑えながら独自性の高いサウンドトラックを作成できます。
このように、YuEはさまざまな職種で多様な用途に活用できるため、音楽制作の可能性を広げるツールといえるでしょう。
YuEを利用する際の注意点
YuEを利用する際の注意点は、次のとおりです。
・ブラウザサービスは有料のケースが多い
・使用するプロファイルによって求められる性能が異なる
・生成速度が遅いことがある
・著作権侵害などに気を付ける
YuEを便利・安全に活用するためにも、各注意点を押さえておきましょう。
ブラウザサービスは有料のケースが多い
YuEのオープンソース版は無料で利用できますが、Web上のサービスとして提供されているものには料金が発生する場合があります。
たとえば、FALやReplicateなどのクラウドサービスでは料金が発生します。自分でローカル環境を構築すれば完全無料で使用できるため、コストを抑えたい方はローカルでの導入を検討するとよいでしょう。
各種Webサービスを使う際は、利用規約や料金体系を事前に確認し、予算に合わせてサービスを選択することが重要です。
使用するプロファイルによって求められる性能が異なる
YuEは使用するプロファイルによって、グラフィックス(GPU)に求められる性能が異なります。フルソング生成には80GB以上のVRAMが必要になる場合があり、NVIDIA® A100やH800といった高性能グラフィックス(GPU)が求められます。
一方、軽量版の限定使用モードであれば24GB以下のVRAMでも動作し、短い楽曲の生成であればより少ないメモリでも対応可能です。
ただし、一般的なパソコンでの利用は困難なため、適切なハードウェアの導入が不可欠になります。
生成速度が遅いことがある
YuEは30秒の楽曲生成にH800で約2分30秒、RTX 4090で約6分かかります。即座に楽曲が完成するわけではなく、ある程度の待機時間が発生することを理解しておきましょう。
ハードウェア性能によって生成時間が大幅に変わるため、高性能なGPUほど短時間での生成が可能です。
複数の楽曲を同時生成する場合はさらに時間がかかる恐れがあるため、制作スケジュールには余裕を持って取り組むことをおすすめします。
著作権侵害などに気を付ける
AI生成楽曲であっても既存の楽曲と類似している場合、著作権侵害になる恐れがあるため十分注意が必要です。
生成した楽曲が既存の著作物に似ていないか、使用前に必ずチェックしましょう。商用利用時には、特に著作権侵害のリスクについて注意しなければなりません。
AI学習データに含まれる楽曲の著作権に関しては、音楽業界で課題になっています。法整備が追い付いていないのが現状なので、最新の動向を把握しながら適切に利用することが重要です。
また、法的トラブルを確実に避けたい場合は、専門家への相談を検討するとよいでしょう。
YuEの使用に!マウスコンピューターのおすすめパソコン
マウスコンピューターは、CPUやメモリ容量などをカスタマイズできるBTO(Build To Order)パソコンを販売しているメーカーです。ここでは、YuEの使用におすすめのマウスコンピューターのパソコンをご紹介します。
※製品の情報や価格は2025年7月19日時点の情報となります。
1.AIの活用に便利な「DAIV FX-I7A7X」
| OS | Windows 11 Home 64ビット |
| CPU | インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 265K |
| グラフィックス | AMD RADEON™ RX 9070 XT |
| メモリ標準容量 | 32GB (16GB×2 / デュアルチャネル) |
| M.2 SSD | 2TB (NVMe Gen4×4) |
| 通常価格 (税込) |
389,800円 |
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DAIV FX-I7A7X
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「DAIV FX-I7A7X」は、高性能パーツを採用したクリエイター向けデスクトップパソコンです。ローカルでのAIタスクを高速に処理する、Intel® Core™ Ultra 7 プロセッサーを採用しています。
また、グラフィックス(GPU)には、AMD RDNA™ 4 アーキテクチャを採用したAMD RADEON™ RX 9070 XTを搭載し、高いパフォーマンスが期待できます。
音楽生成以外にも、イラスト制作や動画編集、3DCG制作など幅広いクリエイティブワークに対応できるのも魅力です。
2.プロフェッショナル向けのワークステーション「DAIV FX-I7N40」
| OS | Windows 11 Home 64ビット (DSP) |
| CPU | インテル® Core™ i7 プロセッサー 14700KF |
| グラフィックス | NVIDIA RTX™ 4000 Ada 世代 |
| メモリ標準容量 | 32GB (16GB×2 / デュアルチャネル) |
| M.2 SSD | 1TB (NVMe Gen4×4) |
| 通常価格 (税込) |
564,800円 |
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DAIV FX-I7N40
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「DAIV FX-I7N40」はプロフェッショナル向けの強力なワークステーションで、短い音楽クリップの作成や軽量版YuEの活用におすすめです。
20GBのVRAMを搭載したNVIDIA RTX™ 4000 Ada 世代を採用し、音楽生成AIの活用をサポートします。また、32GBメモリと1TB NVMe SSDを標準で装備しており、マルチタスクや大容量ファイルの保存にも対応可能です。
さらに、拡張性にも優れており、大型のグラフィックス(GPU)を2枚搭載できるように設計されています。
3.多様なクリエイティブワークに対応できる「DAIV FX-I9G90 (NVIDIA Studio 認定PC)」
| OS | Windows 11 Home 64ビット |
| CPU | インテル® Core™ Ultra 9 プロセッサー 285K |
| グラフィックス | NVIDIA® GeForce RTX™ 5090 |
| メモリ標準容量 | 64GB (32GB×2 / デュアルチャネル) |
| M.2 SSD | 2TB (NVMe Gen5×4) |
| 通常価格 (税込) |
899,800円 |
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DAIV FX-I9G90 (NVIDIA Studio 認定PC)
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「DAIV FX-I9G90」はNVIDIA Studio 認定PCで、YuEをより実用的に使えるハイエンドデスクトップパソコンです。
Intel® Core™ Ultra 9 プロセッサーやNVIDIA® GeForce RTX™ 5090など、ハイエンドクラスのパーツが採用されています。グラフィックス(GPU)は32GBのVRAMを搭載しているため、数分程度の楽曲制作にも対応できるでしょう。
プロのクリエイターにもおすすめできる、高性能なフラグシップモデルです。
まとめ:YuEは自由度の高い音楽生成AI
YuEは音楽理論の知識がなくても高品質な楽曲を生成できる、多言語・多ジャンルに対応した音楽生成AIです。
無料で利用でき、商用利用にも対応しているところが魅力となっています。ただし、フルソング生成には高性能なハードウェアが求められ、生成には時間がかかる傾向があります。
また、著作権侵害のリスクには十分注意し、使用前には確認することが重要です。YuEは趣味やビジネスなど幅広い用途に活用できるので、ぜひ試してみてください。
マウスコンピューターは、多様なスペックのクリエイター向けパソコンを販売しています。詳しい製品のスペックに関しては、以下の公式サイトからチェックしてみてください。
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