イラスト制作用のタブレットには、ペンタブ(板タブ)と液タブがあり、使い方や特徴が異なります。ペンタブ(板タブ)は手元を見ずにパソコンのディスプレイを見ながら描画する方式で、液タブは画面に直接描く方式です。
それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、目指す制作スタイルや好みに応じて選択することが大切です。
この記事では、両者の使い方の違いや価格差、選択時のチェックポイント、パソコンスペックの目安について詳しく解説します。
※ 製品の情報や価格は2025年8月18日時点の情報となります。
- ペンタブ(板タブ)と液タブの使い方の違いとは?
- ペンタブ(板タブ)・液タブで安いのは?値段の違いを紹介
- ペンタブ(板タブ)のメリット・デメリット
- 液タブのメリット・デメリット
- 初心者はペンタブ(板タブ)・液タブどっちがいい?
- ペンタブ(板タブ)・液タブを選ぶときのチェックポイント!
- ペンタブ(板タブ)・液タブを使うパソコンのスペックとは?
- ペンタブ(板タブ)・液タブの使用に!マウスコンピューターのおすすめパソコン
- まとめ:ペンタブ(板タブ)・液タブの違いを理解して購入しよう!
ペンタブ(板タブ)と液タブの使い方の違いとは?
ペンタブ(板タブ)と液タブは、使い方が異なります。ここでは、それぞれの方式でどのようにイラストを描くのかを解説します。
ペンタブ(板タブ)の使い方
ペンタブ(板タブ)は、操作面でペンを動かすとディスプレイ上のカーソルが連動して移動する仕組みで、パソコンとディスプレイが必要です。
タブレット上の位置と画面上の位置が対応する、絶対座標という仕組みを使っているところが特徴です。たとえば、タブレットの右上角をタップすると、画面の右上角にカーソルが表示されます。
比較的導入しやすい方式ですが、紙にペンで描く場合と感覚が異なるため、慣れるまでは思った場所に線が引けずに違和感を覚えることもあります。
液タブの使い方
液タブは液晶画面に直接ペンを当てて描画する方式で、直感的に操作できます。紙とペンで描くような自然な感覚で作業ができるのが特徴です。
液晶画面が付いているため、描画内容を本体画面で直接確認できて違和感がありません。視差による描画位置のズレを感じる場合もありますが、多くの液タブでは視差を調整できるようになっています。
中にはパソコンがなくても使えるスタンドアロンモデルもあるため、場所を選ばず作業しやすいでしょう。
初心者でもすぐに馴染めるためデジタルイラストを始める方にとって扱いやすく、アナログからの移行もスムーズです。
ペンタブ(板タブ)・液タブで安いのは?値段の違いを紹介
ペンタブ(板タブ)は、液タブと比較して価格が安い傾向にあります。液タブは、画面を内蔵しており製造コストが高くなりやすいからです。
ペンタブ(板タブ)の価格は低価格モデルは3,000~5,000円程度からあり、高価格モデルは3~6万円程度です。
一方、液タブは低価格モデルでも2万円以上することが多く、高性能モデルでは20万円以上する場合もあります。初期投資を抑えたい場合は、ペンタブ(板タブ)から始めるのがおすすめです。
ペンタブ(板タブ)のメリット・デメリット
ペンタブ(板タブ)には、手軽さやカスタマイズ性の高さなどのメリットがある一方、違和感を覚えやすい、ディスプレイが必要などのデメリットもあります。ここでは、ペンタブ(板タブ)のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
ペンタブ(板タブ)のメリット
ペンタブ(板タブ)のメリットは、次のとおりです。
軽量でコンパクトなので持ち運びしやすい
手で画面が隠れることがないため全体を見ながら作業できる
画面の熱や光による目の疲労が少ない
姿勢が悪くなりづらいので、長時間の作業でも疲れにくい
描き心地をカスタマイズできる
ペンタブ(板タブ)は、軽量でコンパクトなため持ち運びが容易です。手で画面が隠れることがないため全体を見ながら作業でき、細部と全体のバランスを確認しながら制作できます。
また、画面の熱や光による目の疲労が少なく、長時間の作業でも疲れにくいです。姿勢も悪くなりづらいため、首や肩への負担も抑えられます。
さらに、トレーシングペーパーなどを置くことで、紙に近い描き心地を得られるのも魅力です。
ペンタブ(板タブ)のデメリット
ペンタブ(板タブ)のデメリットは、次のとおりです。
直感的な描画感覚を得るまでに時間がかかる
細かい作業では画面との距離感を掴みにくいことがある
初心者は操作に違和感を覚える場合がある
色再現性高いディスプレイが必要になる
ペンタブ(板タブ)は、直感的な描画感覚を得るまでに練習が必要です。手元と画面が分離しているため、最初は線を思った場所に引けないことがあります。
細かい作業では画面との距離感を掴みにくいことがあり、精密な描画が難しいと感じる方もいるでしょう。特に初心者は慣れるまでに時間がかかります。
また、色再現性の高いディスプレイがなければ、作品の仕上がりに影響します。これらのデメリットも考慮して、自分のスタイルに合うか検討することが重要です。
液タブのメリット・デメリット
液タブは直感的な操作性や細かい描画がしやすいなどのメリットがある一方、価格が高く持ち運びがしにくいなどのデメリットもあります。ここでは、液タブのメリット・デメリットを分かりやすく説明します。
液タブのメリット
液タブのメリットは、次のとおりです。
画面に直接描けるため直感的に操作できる
紙に描くような感覚で作業できるため初心者でも馴染みやすい
線画など細かい描画での精度が高い
ペンタブ(板タブ)としても使えるモデルもある
物理的な定規を当てて直線が引きやすい
液タブは画面に直接イラストを描けるため、直感的に操作できます。紙に描くような感覚で作業できるため初心者でも馴染みやすく、アナログからデジタルへの移行がスムーズです。線画など細かい作業での精度も高く、繊細な表現ができます。
ペンタブ(板タブ)としても使えるモデルであれば、用途に応じて使い分けできます。また、液タブは定規を画面にあててキレイに直線を引きやすいため、精密な描画が可能です。
液タブのデメリット
液タブのデメリットは、次のとおりです。
比較的価格が高いため初心者は導入しにくい
重量があるため持ち運びが難しい
画面の熱で手や顔が温かくなる場合がある
手で画面の一部が隠れるため全体の把握が難しい場合がある
画面の反射や光により目が疲れやすいことがある
液タブはペンタブ(板タブ)と比較して価格が高いため、継続するか分からない初心者は導入しにくい場合があります。また、重量があるため持ち運びがしにくく、外出先での使用には不向きです。
画面の熱で手や顔が温かくなる場合があり、長時間の作業では汗をかきやすくなるのもデメリットです。手で画面の一部が隠れるため全体の把握が難しい場合があり、構図の確認に苦労することもあるでしょう。
さらに、画面の反射や光によって目が疲れやすい他、姿勢も悪くなりやすいのも難点です。
初心者はペンタブ(板タブ)・液タブどっちがいい?
ペンタブ(板タブ)と液タブを使ったことがない初心者の方は、目的や予算、好みに応じて選択するとよいでしょう。どちらもプロの現場で使われているため、性能面での大きな差はありません。好きなイラストレーターや漫画家などと、同じ方式を選ぶのもよいでしょう。
お試しで始める場合や省スペースで使用したい方は、価格の安いペンタブ(板タブ)がおすすめです。一方、予算に余裕がある方や直感的な操作感を重視する方、どちらも試したい方はペンタブ(板タブ)としても使える液タブを検討してみてください。
ペンタブ(板タブ)・液タブを選ぶときのチェックポイント!
ペンタブ(板タブ)・液タブを選ぶときのチェックポイントを、共通するポイント、ペンタブ(板タブ)・液タブそれぞれのポイントに分けて解説します。
ペンタブ(板タブ)・液タブに共通する5つのチェックポイント
ペンタブ(板タブ)・液タブに共通するチェックポイントは、次のとおりです。
対応OS・ソフトウェア
傾き検知機能
筆圧感知の精度
読取解像度
スタイラスペンの使いやすさ
各ポイントの概要や選び方について解説します。
1|対応OS・ソフトウェアをチェックする
ペンタブ(板タブ)・液タブの購入前に、使用するパソコンのOSに対応しているかを確認することが重要です。Windows OS・macOSなど、主なOSとの互換性について製品仕様を必ず確認しましょう。
また、使用予定のデザインソフトウェアとの動作確認も必要になります。使用するソフトウェアで正常に動作するかメーカーの公式サイトで確認してください。
併せて、ドライバーの更新頻度やサポート体制を確認することも大切です。定期的なアップデートがあるメーカーを選ぶと安心して使用できます。
2|傾き検知機能をチェックする
傾き検知機能は、ペンの傾きを検知してブラシの太さや濃淡を変化させる機能です。たとえば、ペンを垂直に立てると細い線になり、傾けることで太い線に変化させられます。
自然な描画表現をするために重要な機能で、アナログの筆やペンのような表現が可能です。傾き検知の精度がよいほど、よりイメージに近い表現ができます。イラスト制作や絵画表現において重要な機能のため、クリエイティブな作業を予定している方は対応モデルを選ぶとよいでしょう。
3|筆圧感知の精度をチェックする
筆圧感知は、ペンにかける圧力を検知して線の太さや濃淡をコントロールする機能です。圧力が低いと線が細く、薄くなり、圧力が高いと線が太く、濃くなります。線の太さや濃淡を筆圧で自由にコントロールできるため、表現力の向上にもつながるでしょう。
筆圧レベルの段階数が多いほど繊細な表現ができるようになり、自然な描画感覚を得られます。主な筆圧感知レベルは4,096段階・8,192段階・16,384段階で、プロ向けモデルでは8,192段階以上の高精度な筆圧感知を搭載していることが一般的です。
細かな表現を重視する方は、高精度モデルを選ぶことをおすすめします。
4|読取解像度をチェックする
読取解像度は、1インチあたりのセンサー数を表すLPI(Lines Per Inch)で表示されます。この読取解像度には2,540LPIや5,080LPIなどがあり、数値が高いほど細かい動きを正確に検知できて精密な描画が可能です。
一般的な作業では2,540LPI以上あれば十分といわれていますが、多くの製品で5,080LPIが採用されています。高解像度が重要になる作業例としては、細密画・テクニカルイラスト・CAD設計などがあります。
LPIが低いと描画位置の検出精度が低くなり、思った通りの曲線が描けない恐れがあるため、できるだけ高い読取解像度に対応したモデルを選択しましょう。
5|スタイラスペンの使いやすさをチェックする
スタイラスペンの重量バランスや握りやすさは、作業効率に影響する要素です。長時間の作業では軽すぎても重すぎても疲労の原因となるため、自分に合う重量を調べてみましょう。集中して作業するためには握り心地も重要なので、実際に製品を触ってみることをおすすめします。
また、消しゴム機能や右クリック機能を割り当てられる、サイドボタンの有無を確認することも大切です。サイドボタンがあれば、操作の切り替えが効率的になり、スムーズなイラスト制作につながります。
液タブを選ぶときのチェックポイント
液タブを選ぶときは、次のポイントもチェックしましょう。
画面サイズ
色再現性
応答速度
画面の調整機能やスタンドの安定性
液タブは画面の性能が作業品質に影響するため、慎重に検討する必要があります。画面サイズは13インチから20インチ以上の大型モデルもあり、大きいほど細かな描画をしやすくなりますが広い設置スペースが必要です。
Webでの色再現性ではsRGBを、印刷物を扱う場合はAdobe RGBのカバー率を確認しましょう。100%に近い液タブは、より正確な色を再現できます。
応答速度はペンで描いたときに反映される速さを指します。25ms以下であれば遅延を感じにくく、快適な描画が可能です。
画面の角度調整機能やスタンドの安定性も重要で、長時間作業での疲労軽減につながります。
ペンタブ(板タブ)を選ぶときのチェックポイント
ペンタブ(板タブ)選びで確認すべき主なポイントは、次のとおりです。
入力エリアの広さ
接続方式(USB接続・ワイヤレス接続)
表面の描き心地と材質
交換可能な表面シートの有無
ペンタブ(板タブ)では、入力エリアの広さが描きやすさに影響します。ディスプレイに対して入力エリアが狭すぎると細かい操作が難しくなり、広すぎると手の移動距離が増えて疲労の原因になります。
使用するディスプレイのアスペクト比を調べ、それに合わせた入力エリアを持つ製品を選ぶことがおすすめです。
また、ペンタブ(板タブ)にはUSB接続とワイヤレス接続があります。USB接続は安定性に優れ遅延がありませんが、ワイヤレス接続は配線がすっきりして自由度が高いというメリットがあります。
表面素材による描き心地の違いもチェックしましょう。ツルツルした表面は滑らかな描画ができますが、ザラザラした表面は紙に近い感覚で描けます。
ペンタブ(板タブ)・液タブを使うパソコンのスペックとは?
ペンタブ・液タブを快適に使用するためには、ソフトウェアの推奨スペックを超えるパソコンが必要です。スペックが不足すると、描画時の遅延・ブラシサイズ変更の反応遅れ・ファイル保存時の停止・アプリケーションの強制終了などが起きる恐れがあります。
次の表は、イラスト制作を始めるためのスペックの目安です。
パーツ | スペックの目安 |
---|---|
CPU | Intel® Core™ i7/AMD Ryzen™ 7以上 (趣味のお絵描きなら Core™ i5/AMD Ryzen™ 5) |
メモリ | 16GB以上 (趣味のお絵描きなら8GB) |
ストレージ | SSD 512GB以上 |
グラフィックス(GPU) | 本格的なイラスト制作は専用グラフィックス(GPU)がおすすめ(NVIDIA® GeForce RTX™シリーズなど) |
ソフトウェアごとに推奨スペックが異なるため、公式サイトで要件を確認してみましょう。また、高解像度の画像や複数のレイヤーを使った作業、3DCGを扱う場合などはより高性能なパソコンを検討する必要があります。
ペンタブ(板タブ)・液タブの使用に!マウスコンピューターのおすすめパソコン
マウスコンピューターは、制作スタイルに合わせてスペックをカスタマイズできるBTO(Build To Order)パソコンを販売しています。ここからは、ペンタブ(板タブ)・板タブの使用におすすめのモデルをご紹介します。
※ 製品の情報や価格は2025年8月18日時点の情報となります。
1.CLIP STUDIO PAINT動作確認済パソコン「DAIV Z4-I7I01SR-A」
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル® Core™ i7-1360P プロセッサー |
グラフィックス | インテル® Iris® Xe グラフィックス |
メモリ標準容量 | 16GB (8GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 500GB (NVMe Gen4×4) |
パネル | 14型 液晶パネル (ノングレア / sRGB比100% / 60Hz対応 / Dolby Vision対応) |
通常価格 (税込) |
169,800円 |
DAIV Z4-I7I01SR-A
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「DAIV Z4-I7I01SR-A」は、軽量かつ堅牢性に優れたノートパソコンです。筐体にマグネシウム合金を採用しており、重量1kg未満を実現しています。CPUは第13世代のIntel® Core™ i7プロセッサー、メモリは16GBを採用し、本格的なイラスト制作に挑戦できます。
また、最大4画面のマルチディスプレイに対応できるので、作業効率の向上も期待できるでしょう。さらに、14型の液晶パネルはsRGB比100%の高い色再現性を備え、正確な色表現が求められるクリエイティブ作業に向いています。
2.場所を選ばずイラスト制作ができる「DAIV R4-I7G50WT-B」
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル® Core™ i7-13620H プロセッサー |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce RTX™ 4050 Laptop GPU |
メモリ標準容量 | 16GB (8GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 500GB (NVMe Gen4×4) |
パネル | 14型 液晶パネル (ノングレア / sRGB比100% ) |
通常価格 (税込) |
199,800円 |
DAIV R4-I7G50WT-B
この製品を詳しく見る
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「DAIV R4-I7G50WT-B」は、専用グラフィックス(GPU)を搭載した14型ノートパソコンです。
NVIDIA® GeForce RTX™ 4050 Laptop GPUを搭載し、高負荷なソフトウェアを快適に使用できます。3DCGなどにも対応できるため、クリエイティブの幅が広がるのもメリットです。
また、ノングレア処理かつsRGB比100%の色再現性を持つ14型のディスプレイを搭載し、目の疲れを抑えつつ質の高い作業が行えます。その他にも、高速なデータ転送ができるWi-Fi 6Eや簡単にログインできるWindows Helloに対応しているなど、使い勝手の良いノートパソコンです。
3.AI性能に優れたミニタワー型デスクトップ「DAIV KM-I7G60」
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 265 |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce RTX™ 5060 |
メモリ標準容量 | 16GB (8GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 1TB (NVMe Gen4×4 / TLC) |
通常価格 (税込) |
274,800円 |
DAIV KM-I7G60
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|
「DAIV KM-I7G60」は、AI処理を効率化するNPUを内蔵したIntel® Core™ Ultra 7 プロセッサー 265を採用し、作業のスマート化を実現します。
グラフィックス(GPU)はNVIDIA® GeForce RTX™ 5060を搭載し、マンガ・イラスト制作や動画編集など多様なクリエイティブ用途に活用できるのも魅力です。
コンパクトなミニタワー型筐体でありながら優れた冷却性能を持ち、高いパフォーマンスを発揮するモデルです。
まとめ:ペンタブ(板タブ)・液タブの違いを理解して購入しよう!
ペンタブ(板タブ)は価格が安く軽量で持ち運びが容易な反面、慣れるまでに時間がかかります。液タブは直感的な操作による精密な描画ができる一方、価格が高く重量が重いところが特徴です。
製品を選ぶときは、画面のサイズや筆圧感知・傾き検知の精度・対応ソフトウェアなど、目的に合うか細かくチェックしましょう。目的や予算、使用環境に応じて自分に合うモデルを選択することで、快適なデジタルイラストの制作環境を構築できるでしょう。
マウスコンピューターは、スペックをカスタマイズできるBTOパソコンを販売しています。イラスト・マンガ制作向けのパソコンもあるため、ぜひ下記の公式サイトをチェックしてみてください。