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連続ドラマから劇場映画まで、緻密なストーリーテリングと高い映像クオリティで知られるTBS。「ドラマのTBS」と称されるその制作現場の一翼を担うのが、TBSアクトのドラマ・映画編集部です。日曜劇場をはじめとする話題作の編集を支えるエディターは、限られたスケジュールの中で膨大な素材を読み解き、シーンのリズムを形にしていく要のポジションと言えるでしょう。
そんな編集の現場で活躍する菅野詩織さんに、マウスコンピューターDAIVブランド初のミニタワー型クリエイターPC「DAIV KM-I7G70(NVIDIA Studio 認定PC)」を、編集室のサブPCの観点からレビューしてもらいました。菅野さんのキャリアやTBSアクト ドラマ・映画編集部の制作体制、そして実作業の中で見えてきたDAIV KMシリーズの実力を紹介します。
菅野詩織/Shiori Kanno
TBSアクト ポスプロ本部 ドラマ・映画編集部
東放学園放送芸術科卒業。フリー等を経て、東通へ入社。2021年合併に伴いTBSアクトへ転籍。テンポの早い緊張感のある編集から心情的なシ ー ンまで、 シ ー ンのリズム感を 大切にした丁寧な編集を得意とする。 柔軟な発想力や類まれなるスピ ー ドが特徴。 編集で大切にしていることは、 相手とのコミュニケーション。 会話の中で目指す作品像を掴み取り形にしていくことを心がけている。
▶主な参加作品
<TBSドラマ>『テセウスの船』(2020)、『TOKYO MER ~ 走る緊急救命室~』(2021)、『アトムの童』(2022)、『ペンディングトレイン-8時23分、 明日君と』(2023)、『フェルマ ーの料理』(2023)、『くるり ~ 誰が私と恋をした?~』(2024)
<映画>『劇場版 TOKYO MER走る緊急救命室』(2023)、『劇場版TOKYO MER ~ 走る緊急救命室~南海ミッション』(2025)、『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~CAPITAL CRISIS』(2026夏公開予定)
https://www.tbsact.co.jp/
「DAIV KM‑I7G70」は、クリエイター向けブランド「DAIV」のミニタワー型デスクトップPCであり、動画編集・3DCG・ビジュアライゼーションなど、やや重いクリエイティブワーク向けに組み立てられた上位モデル。
小型で快適に使えるデスクトップPCを求めるクリエイターの声に応えて開発した製品であり、フルタワーモデルのデザインや設計思想を踏襲しつつ、コンパクトな筐体にまとめられている。
さらにNVIDIA Studio 認定PCとしてインテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 265を搭載し、NVIDIA Studio ドライバーが最適化されているため、Adobe Premiere、DaVinci Resolve、Blender 等の映像編集や3DCGソフトを快適に利用できる。
——本日はよろしくお願いします。まずは菅野さんがドラマ編集者を志したきっかけからお聞かせください。
TBSアクト/オフラインエディター 菅野詩織(以下、菅野):私はもともと、東放学園放送芸術科のディレクター志望者向けコースに通っていました。
授業や実習を重ねる中で編集の授業がとても楽しく感じられた一方で、自分はディレクターには向いていないかもしれないと思うようになり、エディターを志すようになりました。
——テレビドラマの編集に惹かれた理由を教えてください。
菅野:小さい頃からテレビドラマを好んで観ており、自分にとって身近な存在だったというのが大きいですね。特にミステリーやサスペンス系が好きでした。
ミステリーやサスペンスというジャンルは、1カットのつなぎ方によって、物語の印象が大きく変わるんです。同じ素材でも、編集点を数フレーム変えるだけで観る人の受け取り方が変わってくる。その奥深さこそが編集の醍醐味だと感じていて、今もその感覚を大切にしています。
また最近のTBSドラマでは劇場版が多く製作されています。その中で『TOKYO MER ~ 走る緊急救命室』に編集で参加しました。TVシリーズから継続してオフライン編集を務めさせていただいて、本作にて第6回『映画のまち調布賞』編集賞をいただきました。
——ドラマ・映画編集部で第一線で活躍されています。普段はどのようなワークスタイルで作業されているのでしょうか?
菅野:TBSドラマの編集は通常、オフライン2名、オンライン2名、スポット(次回予告など)2名、カラーグレーディング1名というチーム編成で担当しています。
ドラマ・映画編集部は総勢30名近い規模ですが、女性が多く活躍していて、現在6〜7割が女性です。以前は男性のほうが多い印象だったのですが、ここ数年で女性の編集者が確実に増えてきました。私自身も日々実感していますが、アットホームな雰囲気なところが女性も働きやすい仕事場です。
部内イベントの記念写真。後列、右から3人目が菅野さん。ドラマ・映画編集部では、多くの女性が活躍している
菅野:連続ドラマは1話あたり、おおよそ4日でオフライン編集を行い、その後に監督ラッシュ、プロデューサーチェックに2日ほど費やしています。
そう聞くと、1週間ずっと稼働しているように聞こえるかもしれませんが、先ほどお話したとおりオフラインは2名体制で交互に1話ずつ担当しているので、自分の担当回が終われば翌週は休みを取れる環境になっています。
——TBSアクトの編集環境について教えてください。
菅野:社内には現在、編集室が11ブースあります。そのうち9ブースがドラマ用の編集室で、オフライン用が6、オンライン用が3という内訳です。
各オフライン用ブースには、Avid Media Composer用のメインPCと、Adobe Creative Cloudなどを使ったテロップやグラフィック素材の作成などを行うサブPCの2台が割り当てられています。
菅野:また最近では、カラーグレーディングをしっかり行う作品も増えています。私は、オフライン編集専門なのでDaVinci Resolveを使うことはほとんどありませんが、社内ではDaVinci Resolveのトレーニングを実施するなど、積極的に新しい技術を学ぶ機会を設けています。
——機材のリプレイスや、ソフトウェアの運用ルールについて教えてください。
菅野:TBSアクトでは長期運用が原則です。長期間にわたって安定して稼働できるという要件を満たした機材を選定して、5〜10年ほどの周期で運用しています。
安心して作業が行える環境を構築することを第一に、安全安定な編集環境を担保することを重視しています。
ですので、編集ソフトも動作が安定しているバージョンを使い続けるのが基本です。最新版がリリースされてもすぐにアップデートすることはありません。
連続ドラマのポスプロはどうしてもタイトなスケジュールになることが多く、業務や納品に支障が出ないよう確実性を最優先していることがその理由です。
現在の編集マシンは、放送業界のなかで信頼性があり、アフターケアも手厚い法人向けワークステーションを使用しています。
——なるほど。その中で今回、DAIV KM-I7G70はどのような形で試されましたか?
菅野:ドラマ本編の編集業務に用いるマシンの導入は、設置から専門業者に依頼し安全性の担保が保証されなければならないという厳格なルールを適用しています。
そこで今回お借りしたDAIV KM-I7G70は、ドラマ素材が入った社内サーバーには接続せずに、汎用NASにアクセスできるサブPCという位置付けで試用させていただきました。
DAIV KM-I7G70を編集室のネットワーク内に設置
KVMで各ブースに割付られる状態にして、パフォーマンス検証が行われた
——今回のレビューについてお聞かせください。まず、DAIV KM-I7G70 の第一印象はいかがでしたか?
菅野:デザインが素敵だなと感じました。当社の運用ルールとの兼ね合いからマシンルームに設置したので日々筐体を目にすることはなかったのが残念でしたね。
サイズも従来機に比べ小型で、編集ブースに設置する場合でも使い勝手がよさそうだなと感じました。サブPCの場合、編集ブースに直接設置する運用も適用しているので、その意味でサブPCとして運用するのに向いているとも思いました。
また今回、メモリを標準構成の32GBから64GBにカスタマイズしていただきました。欲しいスペックにスムーズに対応できるBTO PCならではの利便性を感じました。

——具体的な検証内容を教えてください。
菅野:現行のサブPC(2020年に導入したワークステーション)と比較しながらテスト運用を実施しました。
なお、現行サブPC上のAdobe After Effectsのバージョンは2020で、最新バージョンではありません。社内で安定動作が確認されたバージョンとの比較になる点はご了承ください。
| DAIV KM-I7G70 ※カスタム構成 | 現行のサブPC | |
|---|---|---|
| OS | Windows 11 Home | Windows 10 Pro |
| CPU | インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 265(8Pコア+12Eコア/20スレッド) | インテル® Xeon™ W-2155 プロセッサー (10コア/20スレッド) |
| GPU | NVIDIA® GeForce RTX™ 5070 | NVIDIA Quadro RTX™ 5000 |
| メモリ | 64GB | 64GB |
菅野:今回の検証でDAIV KM-I7G70のパフォーマンスを最も実感できたのが、Adobe After Effectsによる多重合成カットのレンダリング速度です。
今回の検証を行うにあたり、編集部内で最近行なった作業の中で特に高負荷だったものを募ったところ、日曜劇場『リブート』第8話の前半(6分40秒あたり)に登場するカットが挙がりました。1つの画面の中に4Kの動画素材が35レイヤー重ねて、それぞれにエフェクトがかかっているという、非常に重たいカットです。
このカットを現行サブPCでレンダリングすると、その日の業務終わり頃に仕掛けて帰宅し、翌日出勤すると確認できるくらいの時間がかかっていました。
ところがDAIV KM-I7G70でこのカットを再現してレンダリングしてみたところ、わずか10〜15分ほどで完了しました。これには部内のみんなで驚きました。
これだけレンダリング時間を短縮できれば、レンダリング待ちで生まれていた待ち時間を使って別の作業に充てたり、より細かい調整を重ねてクリエイティブの質を高めることができるはずです。
こうした重たい合成カットは折に触れて発生するので、部員からもサブPCの更新を望む声が上がっています。
▲ 現行サブPCでは約10時間を要した、4K動画素材35レイヤーの多重合成カット。DAIV KM-I7G70では、レンダリングがわずか10数分で完了した
——ほかにはどのような作業を試されましたか?
菅野:サブPCで日常的に行なっているAdobe Photoshopによるテロップ素材の作成やAdobe After Effectsによる看板などのバレ消し作業も試しました。どちらも快適に作業を進められました。
テロップ素材はレイヤーが多くなると、レイヤーのオン・オフ切り替えやファイルを開く動作にラグを感じる場面も少なくないのですが、DAIV KM-I7G70ではどの操作もスムーズに行うことができました。
——普段はメインPCで行われているMedia Composerの操作感はいかがでしたか?
菅野:プロジェクトを開くときや素材の読み込みでは現行機と遜色ありませんでした。レンダリングや書き出しについては、同じくらいか少し速いくらいの感覚です。
オフライン編集ではAvid DNxHDなど軽量なコーデックに変換した素材を扱うため、もともと大きな差は出にくい工程ではあるのですが、長尺もので素材数が多いエピソードや、レイヤーの多い処理ほど、最新機種であるDAIV KM-I7G70の真価を発揮できると思います。
また、今回一緒に試させていただいた27型WQHD IPS方式液晶ディスプレイ「ProLite XUB2797QSN-B2」については、編集ブースのKVMがDVI接続のため、DAIV KM-I7G70のDisplayPort出力と単体で接続して確認しました。
手元のディスプレイが旧世代のものしかなかったこともあり、ProLiteの解像度の高さやコントラストの明確さが際立っていました。エディターとしては、もちろん ProLite XUB2797QSN を使えた方が嬉しいですよ(笑)
(左)ProLite XUB2797QSN/(右)普段使用しているディスプレイ。解像度が高くコントラストも明確なProLiteの表示では、画像により質感や立体感を感じる
——最後に、今後の展望についてお聞かせください。
菅野:TBSドラマでは、撮影も完パケも4Kで進める作品が増えてきました。地上波のオンエアそのものはHDですが、素材は4K、映画は4Kでの納品が当たり前になっています。
それに伴い、オフライン編集時でも、再生のもたつきやフリーズを避けるために、より高いパフォーマンスを備えたPCへのニーズが確実に高まっています。
今回試したDAIV KM-I7G70は、Adobe After Effectsの重い合成処理が大幅に短縮された点をはじめ、Adobe Photoshopの細かい操作やAvid Media Composerによるオフライン編集までトータルで快適に使える1台でした。
社内では今年、サブPCのリプレイスを予定しています。コンパクトで主張しすぎないデザインも編集室に置きやすく、有力な選択肢の1つになると感じています。
オンライン・オフラインを問わず、会社所属の編集者からフリーランスの方まで、幅広い方にオススメしやすい製品だと思いました。
DAIV KM-I7G70は、本体上部に電源ボタンやUSB端子等のインターフェースが配置されている。カバーがあり埃が入り込みにくい設計で編集ブース内に設置するPCとしても向いているのではと、菅野さん
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