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TBSアクトのスタジオ照明部では、現在プリビズ工程の重要性に着目し、Vectorworks SpotlightのShowcase機能を活用した新たなワークフローの構築に取り組んでいる。数百台の照明機材を扱う負荷の高い作業において、クリエイター向けPCには何が求められるのか。照明演出の最前線と、マウスコンピューター「DAIV」の導入効果について話を聞いた。
高谷知宏
株式会社TBSアクト スタジオ本部 スタジオ照明部/株式会社TBSテレビ(出向)
2021年、TBSテレビに入社。技術開発系の部署でTVerのリアルタイム配信ローンチにおける設備構築や、社内のイノベーションスペース「Tech Design X」のシステム立ち上げに従事。巨大ビジョンや照明、TouchDesigner、Unreal Engineなどを活用した空間演出のシステム開発を行う中で「空間演出」の魅力に惹かれ、TBSアクトのスタジオ照明部出向。『CDTV ライブ!ライブ!』や『日本レコード大賞』などの音楽番組を中心に、Vectorworks Spotlight、ムービングライトのオペレーションやシステム開発に従事している。
https://www.tbsact.co.jp
https://techdesignlab.net/people/1
写真左:横山昌弘
ベクターワークスジャパン株式会社
CXイノベーション推進部
エンタテインメントテクニカルスペシャリスト
2007年入社。長年Vectorworksに携わり、建築やインテリア、エンターテインメント分野を幅広く担当。新製品発表時のデモンストレーションなども務める。現在はエンターテインメント分野に特化し、照明に留まらず、音響、大道具、舞台美術といったステージデザイン全般のVectorworksトレーナーとして基本操作や作図テクニックを指導している。
写真右:小金谷秀樹
ベクターワークスジャパン株式会社
CXイノベーション推進部
シニアマネージャー
前職でネットワーク関連の業務を経験後、2010年にベクターワークスジャパンに入社。現在はシニアマネージャーとして、大手顧客の対応や全業界のユーザーサポートを統括する。建築、インテリア、内装、都市計画など多岐にわたる分野のサポートに携わり、今回はハードウェア選定の視点からも高谷氏のワークフロー構築をバックアップ。
高谷 知宏氏(以下、高谷):私は現在、TBSアクトのスタジオ照明部で『CDTV ライブ!ライブ!』をはじめとした音楽番組を中心に、ムービングライトのオペレーターや、フロアでの照明づくりを担当しています。
TBSテレビへの入社当初は技術開発系の部署でシステム開発を担当していたのですが、そこには巨大なビジョンや大量の照明機材があって、Unreal EngineやTouchDesignerを使って、映像と照明を連動させた空間演出のシステムを組んでいたんです。そこでリアルな照明とバーチャルな演出を組み合わせる面白さに目覚めました。空間演出をもっと深く追求したい、現場で経験を積みたいという思いからTBSアクトのスタジオ照明部への出向を希望し、今に至ります。
高谷:主に3つのツールを使用しています。まずはVectorworks Spotlightです。灯体(照明機材)をどこに配置するか、どのアドレスや回路で制御するかといった情報を盛り込んだ「仕込み図」づくりに使用しています。その他に、DMX(照明制御通信プロトコル)で機材を制御するためのメインシステムとしてMA Lighting社のコンソールのgrandMA3を、ビジュアライザーにはL8を使用しています。
高谷:はい、以前から部署全体で標準的に使われていました。私自身は異動するまで触ったことがありませんでしたが、元々触っていたUnreal Engineなどの3DCGのツールとインターフェースが似ていたので、比較的スムーズに馴染むことができました。
高谷:大きな理由は、今後のスタジオ更新やワークフローの変化を見据え、仕込み図作成の段階から“当て感(あてかん)”を確認したかったからです。
当て感とは、出演者に対してどの角度から光が当たるか、セットに対して光がどう影響するか、といった距離感や角度のことです。「見せライト(装飾としての照明)」であれば、セットの部材と被らないか、カメラアングルに対してどう見えるかといった確認が必要です。これを2Dの図面だけで判断するのは、熟練の技術者でも難しい場合があります。現場に行ってから「イメージとちがった」「物理的に光が抜けない」となるのを防ぐため、仕込み図を書いている段階で3Dで確認できるShowcaseが有用なのです。コンソールを接続することで、プリビズをひとつのソフト内で完結できます。
高谷:ライティングデザイナー(LD)やオペレーター全員が、ひとつのゴールを共有するための基準をつくることです。通常LDからは、「このタイミングでこのように照らしてほしい」という指示が文章やシートで送られてきます。しかし、テキストだけの情報では、受け取り手によってイメージのズレが生じかねません。それをビジュアライザーで可視化することによって、「この歌詞のタイミングでは、こういう動きが気持ち良いよね」「色はここまで変化させよう」といった共通認識を持つことができます。
▲Showcaseを活用したシミュレーションの様子
高谷:その通りです。実際の現場に入ると、どうしても時間は限られてしまいます。限られた時間の中で最高のパフォーマンスを出すためには、現場に入る前の段階で、チーム全員の中に“ゴールのイメージ”が出来上がっていなければなりません。
そのために、つくったデータをみんなで覗き込みながら、「もう少し内側に向けよう」「タイミングをコンマ数秒ずらそう」といった議論を重ねます。現場に入る前にゴールをチームで共有し、よりクリエイティブな微調整に集中できるようにする環境づくりを大切にしています。
横山昌弘氏(以下、横山):Vectorworks Spotlightは舞台やテレビの照明、美術に特化した機能を持っており、精度の高い2D図面作成と、高品質な3Dビジュアライズを1本で完結できるソフトウェアです。世界中の主要な照明機材のデータがライブラリとして搭載されており、配置した機材のデータを元に、必要な電源容量の計算や機材リストの作成まで行えます。
横山:Showcaseは、仕込み図を作成しながらリアルタイムに照明のシミュレーションができる機能です。従来、照明デザインのフローにおいては複数のツール間を行き来する必要がありましたが、ユーザーからの強い要望を受け実装されることになりました。コンソールを直接接続することができます。
小金谷秀樹氏(以下、小金谷):そうですね。Showcaseはまだ新しい機能ですが、高谷さんのようなユーザーに使っていただき、フィードバックを反映しながら、より現場に即したものにアップデートしています。
高谷:Showcaseの真価は、やはり設計と確認がシームレスである点にあると思っています。2Dでシンボルを置けば、それが3D空間にも配置され、すぐに光を出して確認できる。バラエティ番組のワンシーンや、セットと照明の位置関係を確認する用途においては、この手軽さと即時性が圧倒的なメリットになります。
高谷:今までは主に2Dの作図がメインだったので、そこまで高いマシンスペックは必要ありませんでした。しかし、Showcaseを使って数百台のライトをリアルタイムでシミュレーションするとなると、マシンパワーが必要です。そこでベクターワークスジャパンのおふたりに相談し、Showcaseが快適に動くスペックのノートPCとして提案していただいたのが「DAIV」でした。
高谷:非常に快適です。私が個人で所有しているノートPCも一定のスペックのパーツが搭載されているのですが、Showcaseの機能を試した際には、動きをつくった際にカクつきが出たり、光の残像が残ってしまったりすることがありました。一方、DAIVでは非常に滑らかに動くのでストレスが全くありません。約100台のライトを動かしながら、ウォークスルーで視点を変えてもスムーズです。
横山:私も横で見せてもらいましたが、描画がとても滑らかでしたね。PCのスペックが低いと、ライトが点灯しなかったり、動きについてこられなかったりすることがあるのですが、DAIVは照明の計算処理をしっかりとこなしていました。
小金谷:CPUとGPUのバランス、そして放熱設計の良さが効いているのだと思います。GPU単体がハイスペックなだけではなく、バランスの良いCPUと組み合わせていること、そして長時間負荷をかけた際の安定性です。DAIVはこれらが優れていると思います。
| DAIV S5-I7G60SR-A | 検証機A(ノートPC) | |
|---|---|---|
| OS | Windows 11 Home 64ビット | Windows 11 Home 64ビット |
| CPU | インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 155H | インテル® Core™ i7-12700H プロセッサー 12700H |
| GPU | NVIDIA® GeForce RTX™ 5060 Laptop GPU 8GB | NVIDIA® GeForce RTX™ 3070 Ti Laptop GPU 8GB |
| メモリ | 32GB(16GB×2/デュアルチャネル) | 16GB |
高谷:持ち運べることが必須条件でした。オフィス内、副調整室(サブコントロールルーム)、スタジオなど、様々な環境で仕込み図作成を行うためです。また、これからは他のスタッフと画面を覗き込みながら「ここの明かりをもっと内側に」といった修正を副調整室でも行えるようになると思います。照明の現場は機材の持ち運びが多いですし、最近は女性のオペレーターも増えているので、取り回しが良いに越したことはないですね。
高谷:特に気に入っているポイントは、テンキーがある点です。私たち照明の仕事は、機材のアドレスや調光のパーセンテージなど、数値を入力する作業が非常に多いんです。ショートカットキーを割り当てたりもするので、テンキーがあるのとないのとでは作業効率が段ちがいです。
横山:Vectorworksにはテンキーを使ったアングル切り替えのショートカットもあるので、その点でも相性が良いですね。
高谷:今後は、プリビズの精度をさらに上げて、現場での作業時間を短縮しつつ、よりクリエイティブな部分に時間を割けるようにしたいです。
また、Vectorworks SpotlightとTouchDesignerを連携させるなどして、映像と照明、リアルとバーチャルが融合した演出にももっと挑戦していきたいです。そうした新しいワークフローを構築する上で、ハイパフォーマンスなノートPCは欠かせないパートナーになると思います。

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