データ分析において、標準偏差は極めて重要な役割を果たします。標準偏差は、データのばらつきを数値化する手段であり、ビジネスや学術の世界で幅広く活用されています。この記事では、Excelを用いて標準偏差を容易に計算する方法を解説します。
標準偏差とは?
標準偏差とは、データセット全体の値が平均からどれだけばらついているかを示す数値です。標準偏差が小さければ、データ全体が平均値に近く集まっているということになり、データのばらつきが少ないことを意味します。逆に、標準偏差が大きければ、データ全体が平均値から大きく離れて分散していることを示し、データのばらつきが大きいことを意味します。標準偏差は、各データポイントと平均との差の二乗の平均(分散)の平方根として計算されます。
これにより、データの散らばり具合を数値化し、データのばらつきを知りたいときに役立ちます。標準偏差は、「母集団」と「標本」について知っておくと理解を深めることができるため、以下で詳しく解説します。
母集団:調査や研究の対象となる全体の集合を指し、例えばある会社の全従業員、ある学校の全生徒などが母集団になる
標本:母集団から選ばれた一部の集合を指し、例えば母集団がある会社の全従業員の場合、ランダムに100人を選ぶと、その100人が標本になる
標準偏差を計算するとき、母集団全体のデータを使うことが理想的ですが、現実的には難しいことが多いです。
そのため、母集団から一部を選んだ標本のデータを使って標準偏差を計算し、それをもとに母集団全体のデータのばらつきを推測します。
Excelでの標準偏差の計算方法
Excelでは、STDEV.PとSTDEV.Sという2つの関数を使用して標準偏差を計算することができます。STDEV.Pは母集団の標準偏差を計算し、STDEV.Sは標本の標準偏差を計算します。これらの関数を使用するには、計算したいデータ範囲を関数の引数として指定します。
さらに、Excelのアドインであるデータ分析ツールを利用して標準偏差を計算する方法もあります。この方法は、複数の統計的な情報を一度に取得したい場合に特に便利です。データ分析ツールのアドインの追加方法は以下の通りです。
「ファイル」タブをクリックし、メニューの左下にある「その他」をクリックし、「オプション」を選択する
「オプション」ダイアログボックスが表示されたら、「アドイン」をクリックし、「アドイン」画面で「Excelアドイン」を選択し、「設定」をクリックする
「アドイン」ダイアログボックスが表示されたら、「分析ツール」をチェックし、「OK」をクリックする
これにより、「データ」タブに「データ分析」ボタンが追加されます。
標準偏差を求める実践例
STDEV.S関数、STDEV.P関数を使用して標準偏差を求める
例えば、B3からB12までのセルにデータがある場合、その標準偏差を計算するには次のようにします。
母集団から選ばれた一部(標本)のデータを対象に標準偏差を計算したい場合
=STDEV.S(B3:B12)
母集団全体のデータを対象に標準偏差を計算したい場合
=STDEV.P(B3:B12)
上記の方法で、特定のデータ範囲の標準偏差を素早く計算できます。
データ分析ツールを使用して標準偏差を求める
B3からB12までのセルにデータがあり、データ分析ツールを使用して標準偏差を求めたい場合は次のようにします。
「データ分析」ダイアログボックスが表示されたら、「基本統計量」を選択し、「OK」をクリックする
「入力範囲」にデータが入力されているセル範囲を指定する
「出力範囲」に結果を表示したいセルを指定します。別のシートに出力したい場合は「新規ワークシート」を選択する
「統計情報」をチェックし、「OK」をクリックする
これにより、指定したセル範囲の標準偏差を含む統計的な情報が出力されます。
まとめ
このように、Excelを使用すれば、誰でも簡単に標準偏差を計算することができます。Excelのこの機能は、ビジネスや研究でのデータ分析において大いに役に立つでしょう。
Excelには他にも多くの統計機能があるため、ぜひ他の機能も探求して試してみましょう。