Xeon® 搭載モデルが制作現場で活躍

2004年、その革新的映像世界で国内外に衝撃を与えた『アップルシード』。その待望の最新作、『アップルシード アルファ』が2015年1月に公開されました。フル3DCGアニメーションで描かれ、その圧倒的映像美は『アバター』のジェームズ・キャメロンにして「これはもはや新次元の領域に達している」と言わしめています。この3Dアニメーションの制作にあたり、マウスコンピューターのインテル® Xeon® / Core™ i7シリーズ搭載パソコンが制作現場を強力にバックアップ。今回は本作品の監督である荒牧伸志氏に、マウスコンピューター製品をどのように活用し、制作にあたったのかを伺いました。

目的

制作現場のニーズに応えるPCの導入

課題

機材的な問題でCG作品制作の業務作業が滞る

効果

アップルシードの画像のクオリティアップ

レンダリング、コンポジット作業における業務効率化

Q1.映画の公開おめでとうございます。米、英、仏、そして日本と、非常に好評な本作ですが、作品を制作されたうえで、こだわったポイントに関して伺えますでしょうか。

『アップルシード アルファ』は3回目の「アップルシード」の映画化でしたが、今回は主人公のキャラクターに焦点を当てたシンプルな物語を作りたいという気持ちがありました。

この映画では原作の前日譚にあたる部分、デュナンとブリアレオスの二人がオリュンポスを目指す前を描いています。荒廃したニューヨークの街を舞台に、戦争後の希望を失っている主人公たち、彼らの登場人物の心情の変化を観客に身近に感じて欲しいという思いがあったため、今回は“フォトリアル”という、本物により近い質感を見せる表現を選びました。キャラクターの表情の微妙な変化や仕草、素材の質感、メカの重量感を感じ取っていただければと思います。

Q2.本作は美麗で繊細なCG映像により描かれていますが、このようなCG映像はどのような制作過程を持って完成されていくのでしょうか。

細かく説明すると長くなりますが、出来るだけ簡単に。
まず脚本を開発しながら、コンセプトアートや、キャラクターデザイン、背景デザイン、メカ、プロップのデザインなどを進めます。そして完成した脚本とデザインを元に絵コンテを作成します(このあたりをプリプロダクション、と呼びます)。
その後、絵コンテをベースに実際の役者さんに演技をしてもらいその動き表情をモーションキャプチャーします。そのデータを使って1カットずつカメラを決めてアニメーションを完成させ、爆発や煙などのエフェクトを作成し、最終的に背景、キャラクター、などそれぞれの要素をレンダリングという行程で質感のある画像を作り、それらを合成(コンポジット)して最終的な映像が作り上げられます。ここで映像はほぼ完成です。

この後、各キャラクターのセリフをアフレコして、足音、銃撃、など効果音を一つずつ作り、音楽をシーンに合わせて作ってもらい、それぞれの音の要素のバランスをとって(ダビング)映像と合わせ、最終的な映画として完成されます(この映像製作が終わった後の作業をポストプロダクションと呼びます)。

Q3.本作品のようなハイクオリティのCG作品を制作するにあたって、ハードウェア面でこだわるべきポイントはどのようなものでしょうか。

何よりもまずはスピード、です。あらゆる意味でコンピュータに求められる全てのスピードが必要です。
レンダリング速度、描画速度、反応速度、書き込み速度、読み出し速度、起動速度、通信速度、等々です。私は直接映像製作3DCGのソフトには触りませんが、デザインやプランニング、連絡などのあらゆる作業を進める時に、機材的な問題で作業が一瞬でも滞らないのが理想です。
モニタと自分の間にある、タブレットやキーボード、マウスなどの機材を出来るだけ意識しない状態で使いながら作業を円滑に進められれば、思考速度で仕事が出来るし、ストレスも最小限になります。スケジュールも軽々クリアできるようになります。

Q4.今回、マウスコンピューターのインテル® Xeon® シリーズと、Core™ i7シリーズ搭載パソコンを制作現場で使用頂いておりますが、それぞれの製品が、先ほどの制作過程における、どの環境下で使用されたのでしょうか。また、製品がもたらした効果に関してもお聞かせください。

Xeon® シリーズ搭載のマシンについては、最も負荷がかかり、作業的にも重要な最終的に映像を完成させてゆくコンポジットパートで、スタッフチームの要のCGディレクターでもある松本勝さんのマシンとして活用しました。速度と安定性を両立したマシンで、アップルシードの画像のクオリティアップに大きく寄与してもらったと思います。
Core™ i7シリーズ搭載のマシンについては、レンダリングという行程で使用しました。ボリュームのある作業をスムーズに進めることが出来ました。

Q5.実際に映像を制作される現場の方々から、処理能力以外の面において、マウスコンピューター製品を使用して良かった点などのお声はありますでしょうか?

たくさんのマシンの中で毎日長時間作業が続くので、少しでも静粛性があるのはうれしいですね。でも何よりも我々にとってコンピュータは無くてはならない仕事の道具ですから、なんと言っても信頼性ですね。そこは本当にありがたかったです。

Q6.マウスコンピューターに今後期待することはありますでしょうか。

安定性、スピードなど効率の話ばかりしていますが、例えば小型で持ち運びできるけど本格的な作業が出来る革新的なコンピュータ(タブレットでもOK)などが出てくると楽しいですね。どこでも気軽にストーリーボードを書いたり、メカデザインが出来たりするような。

Q7.最後に

今回の「アップルシード アルファ」でフルCG映画を5本作ったことになりますが、作れば作るほど作品作りが楽しくなってきているのを実感します。それはコンピュータの進化が大きく関与しているのは言うまでもありません。ソフトの機能が向上し、ハード的にも飛躍的に進化することによって、映像の表現の幅がどんどん広がり、我々の表現したいことがさらに自由度を増しているのです。それが作り手の創造力を刺激し、さらに新しいものを作りたくなる、と言う良いスパイラルを作っていると思います。もっともっとコンピュータも進化を続けて、我々の創造性をサポートして欲しいですね。

<ご紹介> 荒牧 伸志 氏

アニメーション監督、メカニックデザイナー。劇場版『アップルシード』は3作を通して監督を務め、革新的な映像世界で人々を驚かせてきた。ハリウッドスタジオ作品『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』ほか『キャプテンハーロック』など、世界でも数少ない実物等身大のリアル描写“フォトルック”での3Dアニメーション映画を得意とし、日本における本ジャンルの第一人者

荒牧 伸志 氏
<原作『アップルシード』とは>

舞台は第5次非核大戦後の荒廃した世界。高いテクノロジーを残した理想都市オリュンポスを中心に展開される人類再生計画に巻き込まれる主人公の女性・デュナンと、男性のサイボーグ・ブリアレオスが繰り広げるアクション作品。原作は『攻殻機動隊』などで有名な士郎正宗の漫画で、国内のみならず海外での人気も高く、アメリカ・イギリス・イタリアなどでも出版されている。すでに何度も映像化されている本作だが、『アップルシード アルファ』では今まで描かれていない、デュナンとブリアレオスがオリュンポスに至るまでの前日譚を3D CGによって映像化している。

Motion picture© 2014 Lucent Pictures Entertainment Inc. / Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc., All Rights Reserved. Comic book© 2014 Shirow Masamune / Crossroad

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