導入された院内システムは、患者の情報を一元管理するものだ。医師や看護師だけでなく、ケースワーカーなど患者に関わるすべてのポジションの人々が、同じ情報を共有できるようにする。従来は紙ベースで情報が管理されていたこともあり、十分には情報が共有されていなかった。紙の利用量削減と情報共有の実現を両立させるものとして、独自院内システムには期待がかかっている。
「現状ではまだスタートしたばかり。現場スタッフは看護師80〜90名程度を含めて150人前後存在しますが、現時点でスムーズに使えているのは20〜30名程度でしょうか。ポジションごとにこうしたシステムに強い人への教育を行い、現場に伝達してもらう形で、徐々に利用率を高めたいと考えています」と星氏
精神科の看護師は、外科や内科と比較すると高齢であることが多い。資格取得後の若年層は技術習得のために総合病院や外科、内科等を選択することが多いのに対して、精神科はそうした技術を習得したあとに、結婚・出産を機に一度現場を遠ざかった看護師の集まる場になっているからだ。比較的年齢の高い女性という機械に弱い層がメインユーザーであること、システムの利用を優先して現場業務が滞るのでは、本末転倒であることなどから、ゆっくりとしたペースでの浸透が狙われている。
「実は以前、別の病院でもシステム導入を手がけたことがありますが、定着には3年ほどかかりました。ほとんどの人が使えるようになったなと思った3年後の時点でも、3割弱の職員は自分で使うことをいやがっていたようです。今は1年後にある程度浸透していることを、目指そうと考えています」と星氏は語る。
現在はナースステーション等に設置されたPCを、複数人で使っている状況だ。情報を閲覧するだけでも十分業務効率化につながるシステムだが、今のところは上手に使える人が率先的に閲覧し、チームに伝達するような形が取られている。これがうまく普及して行けば、必要な端末も増えるようになるだろう。
「入力にもどんどん使われるようになり、PCの台数が足りないからもっと入れて欲しい、と現場から言われるようになりたいですね。その時には、マウスコンピューターからすぐに新端末を導入したいと考えています」と星氏は将来の展望を語った。
安価かつ迅速に導入でき、実際の使い勝手もいいことからマウスコンピューターへの信頼は高まっており、今後のシステム拡張の際にも利用したいと考えているようだ。