信頼できるスタッフとハイスペックPCで実現する、
コンセプチュアルなミュージックビデオ制作

MV監督
市川稜

市川さんの作業風景

藍井エイルさん×ケンモチヒデフミさんのタッグで制作した楽曲『アンリアル トリップ』のMV制作をDAIVがサポートしました。映像監督を務めたのは、弱冠23歳にして第一線で活躍している市川稜さん。学生時代から、水曜日のカンパネラやサカナクションなど著名なアーティストの映像作品を手掛けてきました。現在は、CM制作やプロジェクションマッピングなど音楽関係以外の仕事にも携わるなど、活躍の幅をますます広げています。 「大学に入るまでは映像をつくったことがなかった」という彼が、なぜ映像作家として働くようになったのでしょうか。映像制作を行う上で気を配っていることや、『アンリアル トリップ』のMVの見どころについても伺いました。

楽曲/MV制作ドキュメンタリームービー

サカナクションのライブ演出に惹かれた高2の冬

そもそも興味があったのは、映像じゃなくてライブ演出だったんです。音楽がずっと好きで、高校2年生のときにサカナクションのライブに行ったら、その演出がホントに格好良くて。でもそのときは、演出のなかのどの役割がやりたいかまでは考えられていなくて、漠然となにかに関わりたいなくらいでした。それで、演出に関わることが広く学べそうだなと思って、美大のデザイン系の学科に進学しました。

実際にライブ演出に関わってみたいなと思っていたときに、先輩がVJはどう?とクラブに連れていってくれて。そのとき知り合った方とのご縁で、定期的にVJをやらせていただけるようになりました。

はじめて映像をつくったのも、VJ活動がきっかけです。VJができるなら映像もつくれるというイメージがあるみたいで、ミュージックビデオをつくってよってお声がけいただいて。おもしろそうだったので「いいですよ」と答えたんですが、本当は全く経験がありませんでした(笑)。大学でも映像の授業はなかったので、ツールの使い方から何から分かりません。引き受けてしまっているので、必死で独学したのを覚えています。

市川稜さん

事務所に所属してから、仕事の幅が広がった

1本つくってからは、ちょくちょくMV制作の話をいただくようになりました。VJの仕事も、水曜日のカンパネラさんとお仕事させていただいたあたりから、しっかりとしたお金をいただけるようになっていたので、卒業後はフリーランスで働こうかなと思っていたんです。

そんなときに、仲良くさせていただいていた映像プロデューサーの方がコエに所属することになって。僕もいっしょに所属しないかと声をかけていただきました。あんまり迷わずに所属させていただくことを決めました。まだまだジャンルを絞らずにいろんな仕事を経験したいなと思っていたので、それなら会社を通すほうが広がりそうだなと思ったからです。営業経験がないので、自分ひとりで活動するかぎりはすでに実績のある音楽関係の仕事ばかりになるだろうなと。その点、会社の場合はいろんなお話が来るので。実際、所属後はCMやプロジェクションマッピングのような、初めての挑戦もたくさんさせていただきました。もちろん良いことばかりではなくて、予算や自由度が低い案件を付き合いで担当しないといけないこともあります。でも、それも含めて経験になっているなと考えていますね。

ファンの目線を大事にする藍井エイルに感じたプロ意識

今回のDAIVの企画も、ちょっと特殊なお仕事でした。タイアップソングのMVやCMはつくったことがあるので、クライアントがいる状況には慣れていますが、MV制作自体にご支援いただくというのははじめてです。制作過程を映像にしていただくというのも。自分が映像に出る側になるのって、不思議な気分ですね。

ケンモチさんとは水曜日のカンパネラのお仕事で何度もご一緒させていただいているんですが、音楽が大好きなお茶目なおじさんという印象です(笑)。藍井エイルさんとは今回がはじめてのお仕事でしたが、プロ意識の高い方ですね。ファンの方が期待する藍井エイル像を意識されていて、その期待にどう応えるか、どう越えていくかをストイックに考えていたのが印象的でした。撮影での具体的なエピソードを挙げると、しばらく目線のないシーンが続く箇所があったのですが、藍井さんからの提案で目線の入るカットを加えました。聴いている人に向けて歌っているんだと伝えたいという意図です。作品としての世界観と、ファンサービスと、両方を大事にされていることが分かった瞬間でしたね。

市川稜さん

『アンリアル トリップ』MVのコンセプトは、脳内旅行

『アンリアル トリップ』のMVは、タイトルの通り空想上の旅行、脳内旅行というコンセプトでつくりました。コロナ禍で外出しづらい状況のなかでも、空想の力で楽しみは見つけられるよと伝えるような歌詞なので、そこから連想した企画です。

見どころは、LEDライトでつくった光の家と、防護服をイメージした衣装です。個人的には、2サビのクロマキー合成のパートも推したいですね。切り抜き合成で背景を変えて、いろんな場所に移動しているように見せているんですが、脳内でのできごとだと伝えるためにあえて粗く切り抜いているんです。カット割も音楽に合わせて細かく割っているので、いつもの藍井さんとはちょっと違った激しい一面が見れるMVに仕上がりました。

ちなみに、途中でPCが出てくるのですが、これはマウスコンピューターさんに気を使ったわけじゃなく、ホントに自然に思い付いたもので。普段からPCを使って仕事をしているので、家で空想をはかどらせる道具として、最初にPCが思い浮かんだんです。ちょうどオンライン会議だったりオンライン飲みだったりが注目されたタイミングでもありましたし、PCはそれだけ人の暮らしに欠かせないものになってきてるのかなと思いますね。

信頼できるスタッフとのつながりが、一番の武器

映像制作のフローをざっくりステップに分けると、企画・コンテ・撮影・編集の4ステップで行っています。

<企画>

基本的にはアーティストさんや広告主さんといったクライアントがいるので、説明のための企画書をつくります。使うのはKeynoteですね。リファレンス画像をペタペタ貼って、あとはこんな風にしたいという説明を100〜200文字くらいで簡単に書きます。企画はディスカッションしながら固めるので、この時点ですごく細かく書くことはなく、ラフなものを複数案用意するスタイルです。資料作りもプレゼン法も我流で、誰かから教わったわけではないので、参考になるか分からないですが……。

<コンテ>

企画がある程度しぼれたら、字コンテもしくは絵コンテを制作します。CMの場合は関わる人が多いのでイメージがずれないように細かな絵コンテを用意することもありますが、MVの場合は意思疎通もしやすいので字コンテで進めることが多いです。その分、曲を聴き込んで構成を理解することに時間を割きます。具体的に考えることで、企画時にはなかったアイデアも出てくるので、方向性が変わることはよくあります。180°変わることはさすがにそうそうないですが、90°くらい変わっちゃうというのはよくありますね。

コンテ制作時の市川さんと藍井エイルさん

<撮影>

続いて撮影です。といってもいきなり撮りはじめられるわけではなく、スタッフさんや機材などを集める準備作業が挟まります。本当は撮影準備で1ステップにしていいくらいかもしれません。特にスタッフィングは一番重要ですね。信頼できるスタッフさんとのつながりがあることが、僕の一番の武器だとも思っています。今回で言えば、撮影・照明・衣装のスタッフさんにご協力いただきました。撮影・照明をお願いした方はほぼ同世代で、フリーランス時代からの付き合いです。機材選びにしろ、色の出し方にしろ、お互いの感性が分かっているのでスムーズにコミュニケーションできます。
撮影本番はたいてい何かしらトラブルが起こります。どんなに準備していても予期しないことが起こるので、対応力が必要ですね。MVやCMの場合は、出演者のスケジュールをそんなに長く抑えられないので、1日で撮りきらないといけないことも多く、なおさら柔軟性が必要です。そういう意味でも、腹を割って話せる関係のスタッフさんがいてくれるのは助かりますね。

<編集>

最後に、撮影素材と支給素材(ロゴ、音源など)を編集して仕上げます。カット割りにはPremiere Proを、カラコレにはDaVinci Resolve Studioを使っています。今回はクロマキー合成があったので、そこだけAfter Effectsも使いました。
実はDaVinci Resolve Studioは半年くらい前に使い始めたばかりで、以前はPremiere Proですべて仕上げていました。乗り換えてみて感じているのは、思い描いた色を出しやすいなということです。例えば暗部にシアンを乗せたいなと思っても、Premiere Proの場合は自動選択の精度が低いので、マニュアルで選択しながら調整する必要があり、相当手間がかかっていました。DaVinci Resolve Studioだとその辺が一瞬で済ませられるので、作業効率が大幅に上がって、その分作り込みできるようになりました。
ツールに関しては必要があれば新しいツールも取り入れるというスタンスで、どんどん新しいものを試したいというタイプではありません。実現したい表現ありきで、それに必要なツールを選んでいます。

編集を行う市川さん

求めるのは、創作活動を止めないPC

便利なツールが増えているし、機材のスペックも上がって来ています。それはいいことなんですが、その分PCに必要なスペックも上がってきていると感じます。

映像編集という観点では、とにかくメモリは大事ですね。4Kとか8Kの素材を扱うことも増えているので、メモリが低いと全ての作業が遅くなります。待ちの時間ができて、集中力も切れてしまうので、サクサク動いて欲しいというのが一番ですね。具体的にいうと、64GBが必須ラインです。同じ理由でグラフィックボードも大事です。プレビューはパッと表示されてほしいですね。扱うデータが大きいので、ストレージ容量もそれなりに欲しいですが、どちらにせよ使用済みのものは外部ストレージにどんどん移していかないと追いつかないので、そこまでは求めません。

今回DAIVを触らせていただきましたが、カット割りやカラコレ作業の処理速度は、普段使っているMacbookと遜色ない印象です。合成に関してはそもそもWindowsのほうが優秀ですし。何より、コスパが抜群ですよね。同じスペックで比べたときに圧倒的に安いのは大きな魅力だと思います。強いて言えば、もう少し軽いハイスペックノートがあればなあと思います。僕は家でも出先でもすべて一台で済ませたいタイプなので、重量の優先度が高くて。今後期待したいポイントですね。

編集を行う市川さん

映像で力になれることがあるなら、どんな仕事もやってみたい

プロジェクトを終えての感想は、クリエイターのためのブランドという宣伝文句通り、DAIV関係者のみなさんはモノづくりに対する理解があるなということです。スポンサーに入っていただくと何かと細かな注文が入るのが普通ですが、今回はそれが全然ありませんでした。重要なポイントのみ伝えていただいて、細かな部分は任せていただけたので、普段のMV制作とあまり変わらない感覚で進行できました。おかげで、観てほしいと自信を持って言える仕上がりの作品になったと思います。

今後の目標を聞かれると、ちょっと悩みますね。半年前はCMにチャレンジしていきたいと言っていたんですが、ありがたいことにこの半年で何本かやらせていただく機会があって。言ったことをすごい速度で叶えてもらって、環境に感謝するばかりなんですが、さらに広げていきたいなと思いますね。

この仕事をはじめた一番最初のきっかけはライブ演出ですし、音楽は今でも大好きなのですが、音楽関連の仕事にこだわりがあるわけではなくて。海外撮影とか、自然物の撮影とか、さらにいろんなことに挑戦していきたいと思っています。映像で力になれる分野があるなら、ぜひ声をかけていただきたいですね。

ミュージックビデオ制作工程

企画・コンテ制作

工程1:
企画/コンテ制作

まずはじめに、MVの企画書を制作する。リファレンス画像を参考に、文章で説明を100〜200文字程度で簡単に書く。企画そのものはディスカッションしながら固めるため、この時点で細かく書くことはなく、ラフなものを複数案用意する。企画がある程度しぼれたら、字コンテもしくは絵コンテを制作する。MVの場合、曲を聴き込んで構成を理解することに時間を割き具体的に考える。

撮影

工程2:
撮影

まず、スタッフや機材などを集める準備作業から始める。特にスタッフィングは市川さんが一番重要としている部分でもあり、信頼できるスタッフとの制作を重要視している。MV場合は、出演者のスケジュールの関係上、1日で撮りきらないといけないことも多いため、頭をフル稼働させて柔軟に対応していくことが大事なのだそう。今回、撮影機材としてボディは、レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーの「 RED EPIC-W」、レンズにはライカのR f2/24mm、R f2/35mm、R f2/50mm、R f2/90mmを使用して4K撮影を行った。※レンズは現在取り扱いなし

編集

工程3:
編集

カット割りにはAdobe Premiere proを、カラコレにはDaVinci Resolve Studioを使用し、今回はクロマキー合成があるため、After Effectsも使用している。
特に、DaVinci Resolve Studioは思い描いた色を出しやすく、暗部にシアンを乗せたい時など、マニュアルで選択せずとも、一瞬で済ませられる。ツールに関しては必要があれば新しいツールも取り入れるというスタンスで、市川さんは実現したい表現に合わせ、それに必要なツールを選び使用している。

市川さんプロフィール写真

MV監督
市川稜さん

ミュージックビデオやVJなど音楽関連の仕事を中心に、CMやインスタレーションなどを含めた幅広いジャンルで活躍する映像作家。制作実績に、サカナクションのライブドキュメンタリー、水曜日のカンパネラのツアーVJ、タウンワークのCMなどがある。クリエイター事務所・コエ所属。

DAIV X9

※参考スペック
[OS] Windows 10 Home 64ビット
[CPU] インテル® Core™ i9-10900X
[メモリ] 32GB PC4-25600
[ストレージ] 512GB NVMe対応
[グラフィックス] GeForce® RTX 2070 SUPER™

※代表的な構成の一例です。
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複雑演算を必要とする高負荷な処理などに真価を発揮。 様々なクリエイターニーズに、高い拡張性で応えるハイエンドパソコン

DAIV X9

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