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ローカルAIはPC市場をどう変える?マウスコンピューターとエヌビディアが語った可能性

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 2026年6月23日、マウスコンピューターは東京都・品川プリンスホテルにて、パートナー向けカンファレンス「Mouse Communication Partner Conference」を開催しました。会場では、今後の事業方針をはじめ、サポート体制や品質管理方針、コンシューマ向け・法人向けマーケティングの取り組みなどを紹介。日頃から事業を支えるパートナー企業を表彰する「Mouse Communication Partner Conference Award」も実施されました。

 さらに、エヌビディア 日本代表兼米国本社副社長の大崎真孝氏と、マウスコンピューター代表取締役社長の軣秀樹によるトークセッションや新製品紹介など、多彩なプログラムが展開。本記事では、カンファレンスで語られたマウスコンピューターの今年度の事業方針と、大崎氏・軣によるトークセッションの内容を紹介します。

 

「ものづくり10」の精神のもと、5つのテーマを掲げて事業を展開

 マウスコンピューターでは、ものづくりに対する考え方を10項目にまとめた「ものづくり10」という精神のもと、社内の課題解決、部門間・パートナー企業との連携強化、生産工場の改善などに取り組んでいます。こうした活動を踏まえた本年度の事業方針として、5つのテーマを掲げていると、軣は解説します。

 ➀ Monetize & Market Share!(価値を売上とシェアに変える)

 ② Operational Excellence!(スピード・品質・納期を“仕組み”で担保)

 ③ User Value Expansion!(ユーザー価値を「製品+体験」へ拡張)

 ④ Sustainable Growth Engine!(成長が止まらない会社構造へ)

 ⑤ Empower People!(人と組織の力を最大化)

 軣は、5つのテーマに加え、各ブランドの周年施策や子ども向けの取り組み、eスポーツ振興についても説明しました。

「5つのテーマの頭文字を並べて「MOUSE」が今年の事業方針となります。今年は法人向けPCブランド「MousePro」が15周年、クリエイター向けPCブランド「DAIV」が10周年を迎えるなど節目の年となります。子どもたちへの施策として、親子パソコン組み立て教室やキッザニアへのパビリオン出展なども行い、さらに全国高校eスポーツ大会『STAGE:0 2026』の機材スポンサーをはじめ、国内のeスポーツ振興にも尽力していきます」

マウスコンピューター代表取締役社長の軣秀樹マウスコンピューター代表取締役社長 軣秀樹

 最後には来場されたパートナーへ向けての言葉で締めくくります。

「2026年度のマウスコンピューターは、ものづくりの精神のもとに5つのテーマで取り組んでいきます。パートナーの皆様には、マウスだけではなく日本のPC市場を盛り上げていくためのアイデアやアドバイスをいただきたく、引き続きお付き合いさせていただければと思っております」(軣)

AIエージェントの進化でPCの役割は「頭脳」から「手足」へ

 エヌビディア 日本代表 兼 米国本社副社長の大崎 真孝氏とマウスコンピューターの軣 秀樹社長によるトークセッションでは、「AI領域における最新技術トレンドおよび市場動向」と「COMPUTEXで発表された「RTX Spark」など最新技術の紹介」、「ローカルAIの可能性」の3つのテーマについて意見が交わされました。

——まずは大崎様、簡単にご挨拶をお願いいたします。

エヌビディア 大崎氏:
昨年の1月にG TUNEのリブランド発表会で登壇させていただき、そこから約1年半が経ち、パソコンを取り巻く環境も大きく変化してきています。そういったことが本日、軣社長と会話できるということで、すごく楽しみにしております。よろしくお願いいたします。

トークセッションの様子1

マウスコンピューター 軣:
よろしくお願いいたします。

——ありがとうございます。ではさっそくですが、AI領域における最新技術トレンドおよび市場動向についてどうお考えでしょうか。

エヌビディア 大崎氏:
ここ半年で、AIエージェントの技術が一気に進化し、ユーザーが日常的に使えるようなフェーズに入ってきた印象があります。ジェネレーティブAI(生成AI)では、会話できるようになり、人に対して意味を与えることが可能になりましたが、さらにエージェントAIでは、よりパーソナルアシスタント的に活用できるようになりました。さまざまな情報を、さまざまなAIからユーザーに合わせた内容や文脈に最適化したうえで提供する、アシストをする、こうした技術が最新のAIであり、人々の手足となって働くAIアシスタントを使える環境が生まれていると感じています。

マウスコンピューター 軣:
本当にここ半年くらい、すごい勢いでAIが浸透してきていると感じています。これまで私はAIを“頭脳”と捉えていましたが、実際に活用するうえでは、人の手足となってくれるような技術が必要であり、それが大崎さんの話されたAIエージェントなのではないか、と考えています。

こうした変化を踏まえると、今のパソコンを取り巻く環境では、ハードウェアの方向に向いているだけでは生き残れないという危機感を抱きました。ただ、PCメーカーだけでAI活用に取り組むのはなかなか困難なミッションであり、業界の先頭を走るエヌビディアさんの技術を少しでも活用しつつ、ビジネスの成長につなげていければと思っています。

トークセッション中の軣1

「RTX Spark」とローカルAIが広げる新たな可能性

——COMPUTEXで発表された「RTX Spark」に注目が集まっていますが、エヌビディアの最新技術について教えていただければと思います。

エヌビディア 大崎氏:
「RTX Spark」の写真をご覧になったかもしれませんが、本当に見た目はノートPCになっており、一言で説明するならば“パーソナルユースに使えるAI爆速マシン”を実現する技術といえます。性能で言えばざっくりと最大1PFLOPS(ペタフロップス)で、比較すると理研が開発したスーパーコンピューター「京」(約10 PFLOPS)の1/10程度の演算処理能力をノートPCサイズの筐体で持っているイメージです。ですが消費電力は十分にご自宅でも利用できるほどに抑えられています。

この技術が、よりパーソナルにAI開発が行える環境を作り上げていくと考えています。個人でAIの開発ができる、またはAIを使ってさまざまなAIエージェントのサービスを受けることができる、まさにエージェンテックAIの時代がきたことを実感しております。

エヌビディア 日本代表 兼 米国本社副社長の大崎 真孝氏エヌビディア 日本代表兼米国本社副社長 大崎真孝氏

——今の話を踏まえて、マウスコンピューターでは今後の製品を通じて、最新技術をどのように届けていきたいとお考えでしょうか。

マウスコンピューター 軣:
まったく想像していなかった技術だったこともあり、「RTX Spark」の発表には驚きました。日本国内では、クラウドを利用したAI活用に対してセキュリティ面での懸念を感じる企業も少なくありません。ローカルPC側でAI処理を行うことで、こうした懸念を払拭できるため、「RTX Spark」は日本国内のニーズにマッチした技術だと感じています。

私たちはAI PCを積極的に展開していますが、その先には「エージェントPC」といった新たな需要が高まるのではないかと予想しており、「RTX Spark」のような先進技術を活用したソリューションを開発していく必要があるのではないか、そう思っていますね。

トークセッションの様子2

エヌビディア 大崎氏:
マウスコンピューターさんのような日本のPCメーカーには、グローバルの最新技術をさらに活用していただくことで、市場を盛り上げ、日本のディベロッパーやクリエイターの皆さんへ還元ができるのでは、と私たちも考えております。

日本の企業風土に適したローカルAIの展望

――最後に、「ローカルAI」の可能性について、感じていらっしゃるところをお聞かせください。

エヌビディア 大崎氏:
そうですね。軣社長が話されていたセキュリティ面に加え、スピード面やコスト面を考えると、手元の環境、デバイス側で処理が行えるローカルAIのメリットが活きるシーンは今後も増えてくると考えています。

セキュリティにも関連しますが、昨今では国家やそこに属する企業が、インフラやデータ、法規制など、その国の枠組みのなかでAIを開発・運用するという考え方が出てきています。日本という大きな枠組みで見ると、日本独自の文化や個人の文化を取り込んだAIがもっと生まれてくるべきだと考えており、その意味でも、個人や企業、日本全体としてローカルAIの可能性が注目されていくのではないかと思っています。

トークセッションの様子3

マウスコンピューター 軣:
ローカルAIは日本の企業風土に適したものと考えています。セキュリティ面はもちろん、大崎さんが話されたようにクラウドと比較してリアルタイム性に優れ、利用コストもコンパクトに抑えられます。私たちが提供している製品は、BTOでカスタマイズ性が高く、ローカルAIのニーズに対応できる構成が選べるモデルもあると考えています。

まずはローカルAIの良さを感じていただけるような活動を促進するとともに、自社内でもローカルAIの活用を推進してサービス品質の向上などにつなげていき、その実体験を法人のお客様に還元していきたいですね。

エヌビディア 大崎氏:
日本国内でAI活用が遅れているのは必然的で、日本の産業はクラフトマンシップで戦後有数の経済大国に成長しました。このため、どうしてもソフトウェアの領域で遅れが生じています。日本が今一度、世界で輝くためには、やはりAIの力、ソフトウェアの力が必要だと思っていて、その実現には研究者やエンジニアをサポートする環境を作ることが大切です。そのアプローチには、クラウドもあれば、オンプレミス環境へのスーパーコンピューター導入もあり、ローカルAIに対応したPCの導入もあるわけです。さらにその先には、日本が得意とするメカトロニクスを取り込んだ「フィジカルAI」の時代が来ると予測しています。

その時代に乗り遅れないためにも環境面での技術者支援は不可欠で、その時代に乗り遅れないためにも、環境面から技術者を支援することが不可欠です。マウスコンピューターさんには、その取り組みをリードしていただきたいと期待しています。もちろん、エヌビディアもしっかりとサポートしていきます。

――ありがとうございました。

トークセッション後の記念撮影


 マウスコンピューターの直近の取り組みが紹介された本カンファレンスは、軣による閉会の挨拶および新役員の紹介で幕を閉じました。会場は最後まで満席に近い状況で、多くの参加者が長い時間にわたり熱心に耳を傾けていました。

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