「GTXとRTXは何が違うの?」「どちらを選べばいいの?」とグラボ選びで迷っていませんか。価格差は大きいのに、スペック表を見ても違いがつかめず判断に困る人は少なくありません。
この記事では、GTXとRTXの違いをスペック・機能・用途の3つの軸で、初心者にもわかるように解説します。読み終える頃には、自分の使い方に合うシリーズが判断できるようになります。
GTXとRTXの違いの全体像
GTXとRTXは、どちらもNVIDIAのGeForceシリーズに属するグラフィックボード(以下、グラボ)です。両者を分ける境界は、映像をリアルに描く専用回路(RTコア)と、AI処理を担う回路(Tensorコア)を搭載しているかどうかです。RTXはこの2種類の回路を備えた世代、GTXは備えていない世代という位置づけになります。
・GeForce GTX:RTコアとTensorコアを搭載しないシリーズ
・GeForce RTX:RTコアとTensorコアを搭載したシリーズ
それぞれの位置づけを順に見ていきます。
GeForce GTXとは
GeForce GTXは、RTコアやTensorコアを搭載しないGeForceシリーズです。過去にはGTX 1080 TiやGTX TITANなど、当時の最上位にあたるハイエンドモデルも存在しました。
現在の最新モデルは2019年登場のGTX 16シリーズで、それ以降は新製品が出ていません。代表的なGTX 1660 SUPERは、フルHD画質のゲームや軽い動画編集に対応できます。
これから新品で選べるGTXは、GTX 16シリーズが中心となります。
GeForce RTXとは
GeForce RTXは、RTコアとTensorコアを搭載したGeForceシリーズです。GTXでは扱えなかったレイトレーシングやAI処理が可能になり、対応する用途の幅が大きく広がりました。
2018年のRTX 20シリーズを皮切りに、30・40・50と世代を重ねて新製品が登場しています。エントリーから最上位までラインアップがそろっており、4Kゲームや本格的な動画編集、3DCG制作まで幅広く活躍します。
最新機能を使いたい人や、現行モデルで長く使いたい人に合うシリーズです。
GTXとRTXのスペックの違い
GTXとRTXのスペックを、近い価格帯・同世代の代表モデルで比較します。違いはCUDAコア数・クロック周波数・メモリ容量・消費電力の4項目に表れます。
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項目 |
GTX 1660 Ti |
RTX 3050 |
RTX 4060 |
|
シリーズ位置 |
GTX 16系最上位 |
RTX 30系入門 |
RTX 40系入門 |
|
CUDAコア数 |
1,536 |
2,560 |
3,072 |
|
ブーストクロック |
1.77GHz |
1.78GHz |
2.46GHz |
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標準メモリ |
6GB GDDR6 |
8GB GDDR6 |
8GB GDDR6 |
|
GPU消費電力 (TGP) |
120W |
130W |
115W |
RTXには上位モデルとしてRTX 4070・4080・4090などが用意されており、最上位のRTX 4090ではCUDAコアが16,384、メモリ24GBにまで達します。
それぞれの項目を順に見ていきます。
CUDAコア数
CUDAコア数は、グラボの中でたくさんの計算を同時にこなすための小さな処理ユニットの数を示す値です。コア数が多いほど、3D映像の描画や動画の変換といった重い処理を分担して進められます。
たとえばGTX 16系最上位のGTX 1660 Tiは1,536コア、近い価格帯のRTX 3050は2,560コアと、RTXの入門機がGTXの最上位を上回ります。さらに新しいRTX 4060では3,072コアまで増え、世代を重ねるごとに性能が伸びています。
CUDAコア数は、同価格帯でもRTXが優位に立ちやすい指標です。
クロック周波数
クロック周波数は、グラボのコアが1秒間に作業を繰り返す回数を示す値です。数値が高いほど、1コアあたりの処理スピードが上がります。
GTX 1660 Tiは1.77GHz、RTX 3050は1.78GHzとほぼ同等の水準です。一方で世代が新しいRTX 4060では2.46GHzまで引き上げられており、世代が進むほど高速になる傾向が見て取れます。
クロックの数値だけでなく、CUDAコア数と合わせて確認することで、グラボの実力を正確につかめます。
メモリ容量
メモリ容量は、グラボに搭載されたVRAM(グラボ専用のメモリ)の大きさです。容量が大きいほど、高解像度のテクスチャや大型の3Dデータを一度に扱えます。
GTX 1660 Tiは6GB GDDR6、RTX 3050とRTX 4060はいずれも8GB GDDR6を搭載しています。上位モデルのRTX 4090ではより高速なGDDR6X規格の24GBが採用され、4Kゲームや本格的な3Dレンダリングまで対応できます。
4K画質や重い作業を想定する場合は、容量と規格の両方を確認しておきましょう。
消費電力
消費電力は、GPU消費電力(TGP)と、パソコン全体に必要な電源容量の2軸で確認します。性能の高いグラボほど多くの電気を使い、電源ユニットの容量も大きくする必要があります。
GTX 1660 TiのGPU消費電力(TGP)は120W、RTX 3050は130W、RTX 4060は115Wと、入門~中堅クラスでは大きな差は出ません。一方でRTX 4090では450Wまで跳ね上がり、NVIDIAの推奨電源容量も850Wに達します。
ハイエンドのRTXを選ぶ場合は、電源ユニットの容量と電気代も合わせて確認しましょう。
RTXだけが持つ機能
GTXとRTXの違いを語るうえで欠かせないのが、RTXだけに搭載された3つの機能です。これらは専用ハードウェアやAI技術に支えられており、GTXでは利用できません。
・リアルタイムレイトレーシング:光や影をリアルに描く技術
・DLSS:AIで映像をきれいに引き伸ばす技術
・NVIDIA Broadcast:配信や会議の品質を上げる無料アプリ
それぞれの中身を順に見ていきます。
リアルタイムレイトレーシング
リアルタイムレイトレーシングは、光や影、水面の反射などを現実に近い形で描画する技術です。光の道筋を一つひとつ計算するため、画面が映画のような奥行きと立体感を持つようになります。
この処理を支えるのが、RTXに搭載された「RTコア」と呼ばれる専用の回路です。GTXにはこの回路がないため、実用的な速度ではリアルタイムレイトレーシングを動かせません。
たとえば、雨上がりの水たまりに街の明かりが映り込んだり、ガラスごしに屋内の景色が反射したりといった表現が、ゲームの中でも自然に再現されます。映像の美しさや没入感を重視する人に向いた機能です。
DLSS
DLSSは、AIの力で低い解像度の映像を引き伸ばし、高解像度の画質に近づける技術です。正式名称は「Deep Learning Super Sampling(深層学習スーパーサンプリング)」です。
仕組みは、まずグラボに軽い解像度で映像を作らせて負荷を抑え、その映像をAIが学習データをもとにきれいな高解像度に描き直す流れです。AI処理を担う「Tensorコア」が必要で、これもRTXだけに搭載されています。
たとえば最新の重いゲームでも、画質をほとんど落とさずになめらかな動きを保てます。グラボに過剰な負担をかけず、長く快適にプレイしたい人にとって大きな利点となる機能です。
出典:NVIDIA|DLSS(深層学習スーパーサンプリング)
NVIDIA Broadcast
NVIDIA Broadcastは、AIを使って音声や映像の品質を高められる無料アプリです。RTXシリーズのグラボがあれば利用でき、配信やオンライン会議の品質をワンランク上げられます。
主な機能は、マイクのノイズ除去・カメラ映像のノイズ低減・背景ぼかしです。AIが瞬時に音声から雑音だけを取り除いてくれるため、安価なマイクでもクリアな声を届けられます。NVIDIA公式の動作要件はRTX 2060以降のGPUが必要で、GTXは対象外です。
たとえばキーボードの打鍵音やエアコンの動作音などを自動でカットできます。配信を始めたい人や、自宅でのオンライン会議を快適にしたい人に役立つ機能です。
用途別に見るGTXとRTXの選び方
GTXとRTXのどちらを選ぶかは、用途と予算で決まります。最新機能を使うかどうか、どの程度の画質や処理速度を求めるかが分かれ目です。それぞれに向いている人を整理します。
GTXが向いている人
GTXが向いているのは、価格を抑えつつ基本的な使い方をしたい人です。最新機能を使わない用途であれば、GTXでも役割を十分に果たせます。
たとえば次のような人に合います。
フルHD・60fps程度のゲームを楽しみたい人
軽い動画編集やWebデザインを始めたい人
とにかく安く中古パソコンを手に入れたい人
GTXシリーズは新製品の登場が止まっていますが、価格と性能のバランスを取りたい人には有力な選択肢となります。
RTXが向いている人
RTXが向いているのは、最新機能や高い処理性能を求める人です。レイトレーシング・DLSS・NVIDIA Broadcastといった機能はRTXでしか使えません。
たとえば次のような人に合います。
4Kや高画質ゲームを快適にプレイしたい人
本格的な動画編集や3DCG制作を行う人
ライブ配信やオンライン会議の品質を高めたい人
長く現役で使えるグラボを選びたい人
価格は上がりますが、用途の幅広さと将来性ではRTXが有利です。
今からGTXを買うときの注意点
GTXには価格の魅力がある一方で、いま購入する場合の注意点が3つあります。
・新品の流通が少ない
・最新ゲームの推奨スペックに届かない
・中古品の品質が安定しない
新品の流通が少ない
新品のGTXは、市場でほとんど見かけなくなっています。最新モデルのリリースは2019年のGTX 16シリーズで止まっており、以降は新製品が出ていません。
家電量販店やオンラインショップでも在庫は徐々に減り、現行のRTXが棚を占める形へ移行しています。新品で手に入れたい場合は、在庫が残るうちに早めに動く必要があります。
最新ゲームの推奨スペックに届かない
GTXは、最新ゲームの推奨スペックを満たせない場面が増えています。ゲーム側が求めるグラボ性能は世代を重ねるごとに上がっており、GTX 16シリーズでは限界が見えやすい状況です。
最新のAAAタイトルでは、推奨環境にRTX 20シリーズ以降が指定される例も増えてきました。これから発売されるゲームを快適に遊びたい人にとっては、やや力不足になりやすいシリーズです。
中古品の品質が安定しない
中古のGTXは、個体ごとに状態のばらつきがある点に注意が必要です。グラボは高負荷で発熱を繰り返すパーツで、使用環境や経過年数によって消耗の度合いが変わってきます。
たとえばマイニング用途で長く稼働していた個体は、ファンやコンデンサの劣化が進んでいる場合があります。価格だけで選ぶと粗悪品をつかむリスクが上がるため、保証付きの専門店や認定中古ショップを選びましょう。
まとめ:機能差を踏まえたグラボの選び方
GTXとRTXは、世代と搭載機能の2点で違いがあります。GTXは価格を抑えた旧世代の普及帯シリーズで、フルHDのゲームや軽い動画編集など基本的な用途に向きます。一方のRTXは現行の主力シリーズで、CUDAコア数や処理速度がGTXを大きく上回り、レイトレーシング・DLSS・NVIDIA Broadcastといった最新機能も使えます。
価格を最優先するならGTX、最新機能や4Kゲーム・配信・本格的なクリエイティブ作業まで幅広く使うならRTXが適しています。GTXは新品の流通が減っているため、長く快適に使いたい場合はRTXを選ぶと安心です。用途と予算に合わせて、自分に合うグラボを選びましょう。
